1999 Fiscal Year Annual Research Report
回析法とフーリエ変換法による生物材料の曖昧な形態の定量解析
Project/Area Number |
09306010
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
藤田 稔 京都大学, 大学院・農学研究科, 教授 (60026599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 淳司 京都大学, 木質科学研究所, 助教授 (40183842)
高部 圭司 京都大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (70183449)
則元 京 京都大学, 木質科学研究所, 教授 (20027163)
吉永 新 京都大学, 大学院・農学研究科, 助手 (60273489)
仲村 匡司 京都大学, 大学院・農学研究科, 講師 (10227936)
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Keywords | 生物材料 / 木材の細胞形態 / フーリエ変換 / X線回析法 / 電子回析法 / レーザー回析法 / 周期構造 / 曖昧さの評価 |
Research Abstract |
生物材料の特性として木材の細胞形状は規則性と不規則性の間にあり、通常の手法では解析が容易ではない。そこでまず木材を細胞の集合物として捉え、個々の細胞を調べるよりも、集団全体としてフーリエ変換法で解析することで木材の実体解明に取り組んだ。まず多くの用語を規定し概念を明確にした。例えば細胞組織を針葉樹仮道管など集合組織系と、道管などの分散組織系に区分し、また形態要素(対象物)と形状因子(目的とする形あるいは集合様式)、数式の導入においては周期構造と非周期構造などに区分した。とくに針葉樹仮道管については、集合組織系の代表として細胞配置、形、細胞壁厚の3形状因子について詳しく解析し、曖昧さを具体的に表現する手段を検討した。配置については細胞の中心点位置に情報を集約するdot map法より、形については細胞境界を抽出したnet map法により、前者は周期構造、後者は非周期構造としてFTIA処理することで、いくつかの細胞横断面形のmodelとして復元に成功した。ここには最頻の寸法と形状についての情報が集約されているが、同時に曖昧さの実体として最頻値からのゆらぎや存在比などが解析されて、本研究の主目的を達成できた。細胞壁厚については、電子顕微鏡と光学顕微鏡の測定能力の比較や、分解能についての新しい理論から、後者での計測能力を認識し、従来の壁厚情報を一新した。そしてこれらmodelの成因や力学的合理性について検討した。 広葉樹の道管については分散系組織として、できるだけ多量に画像情報をサンプリングする方策を模索し、従来の光顕法に加えて軟X線法などの有効性を確かめた。また放射組織などの分布を具体的に解析し、多数の樹種で周期性を示すことを明らかとし、木部進化の観点での検討を可能とした。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 仲村匡史,増田稔: "住宅内装画像における木材領域の自動抽出"木材学会誌. 45・3. 220-229 (1999)
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[Publications] U.Watanabe,M.Norimoto,T.Ohgama,M.Fujita: "Tangential Young's Modulus of coniferous early wood investigated using cell models"Holzforshung. 53. 209-214 (1999)
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[Publications] X.Diao,T.Furuno,M.Fujita: "Digital image analysis of cross-sectional tracheid shapes in Japanese softwood using the circularity index and aspect ratio"J. Wood Science. 45・2. 98-105 (1999)
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[Publications] 村田功二,藤田 稔: "FFT法による木質繊維板の配向評価"材料. 48・1. 77-82 (1999)
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[Publications] J.Sugiyama,C.Boesset,M.Hashimoto,T.Watanabe: "Molecular Directionarity of β-Chitin Biosynthesis"J. Mol. Biol. 286. 247-255 (1999)
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[Publications] T.Imai,J.Sugiyama,T.Itoh,F.Horii: "Almost Pure Iα Cellulose in the Cell Wall of Glaucocystis"J. Structural Biology. 127. 248-257 (1999)