1997 Fiscal Year Annual Research Report
持続型農業の生産性向上のための土壌管理に関する研究
Project/Area Number |
09306016
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松田 豊 北海道大学, 農学部, 教授 (50003083)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏木 淳一 北海道大学, 農学部, 助手 (40241369)
相馬 尅之 北海道大学, 農学部, 助教授 (00110635)
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Keywords | 土壌の排水性 / 土壌の保水性 / 土壌水分移動 / 土層改良 / 重粘性土壌 / 粗粒火山灰土壌 / 空間変動 |
Research Abstract |
北海道の畑圃場において適正な土壌管理技術を確立するために、土壌中の水分・熱環境の時間的・空間的変動性について検討し、土壌の物理的機能を制御・保全する視点から土層改良について評価した。 低地土および重粘土の畑圃場においては、主として耕耘作業によって形成された堅密で排水機能に劣る土層の存在のために、作物根の活動の場である根圏域が耕耘管理土層(Apl層)内に限定されかつその物理性は容気量の不足した過湿状態が長期間継続することが認められた。そしてこのことが圃場の生産性の制限因子となっているため、この土壌物理環境を改良する目的でバ-ク資材を用いた有材心破を実施した。その結果、根圏域土壌において過湿状態を呈する時間が1/4〜1/10まで減少し、余剰水の排除と容気量の確保が容易な土壌となった。一方、保水性が問題となる粗粒火山灰上の圃場において、間隙組成に富むバ-ク資材を客土混層することで作物に必要な容水量を保持する土壌、つまり土壌の保水機能が向上したことが土壌水分の経時観測から明らかになった。 また褐色森林土の改良山成畑工により造成された単一傾斜畑において土壌水分の空間変動性について検討した。土壌水分の経時測定から降雨により土壌表面に供給される水分は、土壌中の再配分の過程で傾斜方向へ水移動が生じていることが認められた。その結果としてのApl層の土壌水分の空間変動は、ある時期に採取した実測値の結果からは、標高と弱い正の相関関係にあり異方性を示していたが、変動幅が小さく特異な水移動との明瞭な関係を見いだすことはできなかった。したがって、傾斜畑における土壌水分の空間変動性を明らかにするためには、時間的な変化つまり土壌水分移動の各段階に関連付けて評価しなければならならことが今後の課題として示された。
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