1997 Fiscal Year Annual Research Report
高い持続的生産力をもたらす放牧草地生態系の動的構造の解明
Project/Area Number |
09306018
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
大久保 忠且 茨城大学, 理学部, 教授 (90115535)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 昌彦 宮崎大学, 農学部, 助教授 (20156673)
杉山 修一 弘前大学, 農学部, 助教授 (00154500)
山村 靖夫 茨城大学, 理学部, 助教授 (50202388)
堀 良道 茨城大学, 理学部, 助教授 (30125801)
塩見 正衛 茨城大学, 理学部, 教授 (80250976)
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Keywords | 草地 / 多様性 / 持続性 / 不均一性 / モデル |
Research Abstract |
0.高い持続的生産力をもつ放牧草地の実態を明らかにするために、本年度は特に草地内における植物の分布と家畜の利用の空間的不均一性の解析に力点をおいた。 1.シロクローバの大葉型と小葉型の変異をとりあげ、クローナル繁殖植物の遺伝変異と種間関係への帰結を解析した。メタ固体群モデルは、シバとの共存草地における遺伝的多様性の維持機構を理解する上で有効であった。生息地の破壊の早さとセクシャル型の移動能力の高さが遺伝的多様性を維持していた。 2.主要イネ科草種内の環境適応機構に関わる特性を調べたところ、生長速度と乾燥ストレス耐性あるいは低温ストレス耐性の間にトレードオフが認められ、競争力や低温や乾燥などの物理的ストレスに対する種間の異なる反応様式が草地群落の構造と機能に大きな影響を与えていることが示唆された。 3.放牧地では、家畜による草種の選択的採食が生じる。この選択採食性が、放牧草地の植生変化に与える影響を解明することを目的に、採食圧の違いによる選択採食性の変化様式、及び低い採食圧条件下での家畜の嗜好性の低い草種が増加する実態を調査した。 4.放牧を行っている半自然草地の植生は、放牧の影響によって植生が細かい不均一なパッチを形成している。どのようなパッチが形成されているかを存在する種ごと及び群集レベルで測定し、それに基づいて植生の不均一性を表すモデルを構成した。 5.バヒアグラス放牧草地では,家畜が不均一に採食することにより、草量の水平分布が不均一になるが、家畜の採食傾向が非常に安定的ではないために、パッチの位置は少しずつ変化し、草量の空間パターンは約700日間維持されるものと推察された。
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