1998 Fiscal Year Annual Research Report
発育期における過度のトレーニングの危険性を考慮した運動処方プログラムの開発
Project/Area Number |
09308002
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Research Institution | National Institute of Fitness and Sports in Kanoya |
Principal Investigator |
芝山 秀太郎 鹿屋体育大学, 体育学部, 教授 (00162644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 茂 横浜国立大学, 教育人間科学部, 教授 (70119858)
宮地 元彦 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (60229870)
春日 規克 愛知教育大学, 教育学部, 助教授 (60152659)
成澤 三雄 国際武道大学, 体育学部, 教授 (20056279)
斎藤 和人 鹿屋体育大学, 保健管理センター, 教授 (50170494)
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Keywords | 発育 / 骨格筋 / トレーニング / 心筋 / ミトコンドリア / 心肥大 / 自発走 / 超微細構造 |
Research Abstract |
本年度の研究は、自発的あるいは強制的に持久的トレーニングにより肥大したラットの心臓を対象として、興奮収縮連関の機能を直接制御する筋細胞内膜系の形態的特徴を組織化学的手法を用いて観察することにより、慢性あるいは急性の運動ストレスに伴い突発性に発現する心機能不全のメカニズムの一端を明らかにするための基礎的資料提供することを目的とした。実験動物にはラットを用い、自発走行もしくは強制走行トレーニングを行わせた。8週間のトレーニング後に心臓を摘出し、興奮収縮連関の機能発現に直接関与する筋細胞内膜系(T管、筋小胞体、トライアド)を選択的に染色し、構造特性の変化を中心として電子顕微鏡を用いて観察した。自発走行トレーニング群並びに強制走行トレーニング群共に心臓の肥大率はほぼ同程度であったのに対し、ミトコンドリア容量は強制運動群のみにおいて有意な上昇が認められた。トレーニング群の心筋においては、位置と方向が変化したトライアドが多数観察された。また、位置と方向の変化したトライアドの出現は運動直後の心筋で特に頻繁に観察され、さらに運動直後の心筋ではT管が膨化したトライアドも観察された。ただし、走行トレーニングに伴い、心筋細胞内での位置と方向が変化したトライアドあるいはT管が膨化したトライアドの機能については報告がなく、形態変化が機能の変化に直接結びつくか否かについては不明である。また、運動直後の心筋では、T管の部分断列が観察された。運動中に引き起こされたT管の部分断列がそのまま興奮収縮連関の機能不全を引き起こす要因と成りうるか否かは不明であるが、従来の方法では捕らえることができなかった心機能不全の器質的障害の一因として、その可能性を十分考慮する必要がある。これらの資料を運動処方プログラムの開発にまとめることを来年度の課題としている。
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