発育期における過度のトレーニングの危険性を考慮した運動処方プログラムの開発

1999 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 09308002
• Research Institution: National Institute of Fitness and Sports in Kanoya
• Principal Investigator: 芝山 秀太郎 鹿屋体育大学, 副学長 (00162644)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 竹倉 宏明 鹿屋体育大学, 体育学部, 助教授 (00206963) ; 斎藤 和人 鹿屋体育大学, 保健管理センター, 教授 (50170494) ; 倉田 博 鹿屋体育大学, 体育学部, 教授 (80056895) ; 成沢 三雄 国際武道大学, 体育学部, 教授 (20056279) ; 田巻 弘之 鹿屋体育大学, 体育学部, 助手 (40253926)
• Keywords: 運動処方 / 発育 / トレーニング / 骨格筋 / 骨 / 呼吸循環系 / 心機能 / ラット

Research Abstract

発育期にある運動器(骨・骨格筋)に対する過度のトレーニングの影響を組織化学的手法を用いて検討した。発育期に骨の良好な質的量的成長が達成されない状況において、運動トレーニングの実施が骨量の増減にどのように影響するのかを観察すると共に、運動処方の有効性を検討した。雌性ラットに対し卵巣摘出を行った。その後その環境に3週間暴露した後、トレッドミル上でランニングトレーニングを、週5回の頻度で1日60分、30m/分の速度で10週間実施した。これらのラットの大腿骨および脛骨を十分に成長した28週齢で採取し、1)骨密度、2)骨梁骨面積、3)骨芽細胞数、4)破骨細胞数を計測した。大腿骨骨密度及び脛骨の骨梁骨面積はトレーニングを実施したラットにおいて有意に高い値を示した。脛骨の骨梁骨を組織染色して観察した結果、成長板に近い部分の骨梁骨が極めて密に構築されていた。骨梁骨周りに存在する骨形成および骨吸収に関わる細胞を観察すると、トレーニングを実施したラットでは破骨細胞数の減少に対して影響は見られなかったが、骨芽細胞数の増加に顕著な効果が認められた。また、伸張性筋収縮を伴う下り走を行わせたラット下肢骨格筋における筋細胞内膜系の構造変化を電子顕微鏡により観察した。17度の下り傾斜をつけたトレッドミル上で16m/分の速度で5分間の下り走を2分間隔で18回行わせた。筋細胞内膜系が運動終了直後の時点と、運動終了数日後の時点の2段階に渡って崩壊し、その後再構築されるのが観察された。縦断方向のT管の増加、triadの方向及び位置の変化が多数観察された。さらにpentadあるいはheptadといった内膜系の特殊構造体の出現も観察された。このように筋細胞内膜系は外的刺激に対して比較的容易にその構造、形態を変化させることで機能の変化を引き起こし、極めて合目的に外的刺激に対して適応しているものと考えられた。

Research Products

• [Publications] Takekura,H.,and Kasuga,N.: "Differerntial response of the membrane systems involved in excitaion-contraction coupling to early and later postnatal denervation in rat skeletal muscle."J.Muscle Res.Cell Motility,. 20. 279-289 (1999)
• [Publications] Takekura,H.,and Franzini-Armstrong,C.: "Correct targeting of dihydropyridine receptors and triadin in dyspedic mouse skeletal muscle in vivo."Dev.Dynamics,. 214. 372-380 (1999)
• [Publications] Saito,K.,Matsushita,M.,and Matsuo,A.: "The effects of training on left ventricular systolic and diastolic function in female college rowers."Jpn.Heart j.,. 39. 411-417 (1998)
• [Publications] Miyachi,M.,Iemitsu,M.,Okutsu,M.and Onodera,S.: "Effects of endurance training on the size and blood flow of the arterial conductance vessels in humans."Acta Physiol.Scand.. 163. 13-16 (1998)
• [Publications] Tamaki,H.,Kitada,K.,Akamine,T.,Murata,F.,Sakou,T.and Kurata,H.,: "Alternate activity in the synergistic muscles during prolonged low-level contraction."J.Appl.Physiol.,. 84. 1943-1951 (1998)
• [Publications] Tamaki,H.,Akamine,T.,Goshi,N.,Kurata,H.,and Sakou,T.: "Effects of exercise training and etidronate treatment on bone mineral density and trabecular bone in ovariectomized rats."Bone,. 23. 147-153 (1998)