1997 Fiscal Year Annual Research Report
南琉球弧の石西礁湖と沖縄島南部の掘削と浅層反射による島棚における堡礁と裾礁の成因
Project/Area Number |
09308003
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
河名 俊男 琉球大学, 教育学部, 教授 (60044955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅 浩伸 岡山大学, 教育学部, 助教授 (20294390)
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Keywords | 琉球列島 / 石西礁湖 / 完新世サンゴ礁 / 先行カルスト / 琉球石灰岩 / 完新世海面変動 / サンゴ礁掘削 / 浅層反射探査 |
Research Abstract |
琉球列島南部の石垣島と西表島との間のサンゴ礁海域は、両島の頭文字を取って、「石西(せきせい)礁湖」と呼ばれ、水深が20数m以浅のサンゴ礁である。石西礁湖の礁原は、竹富島などの周囲に浅く発達する裾礁タイプのサンゴ礁と、竹富島の東南沖合などに発達する堡礁タイプのサンゴ礁の複合体からなる。 従来の堡礁の要因は、ダ-ウィン以来、主に大洋中の堡礁に焦点が当てられ、それらの堡礁は、裾礁が沈降することによって形成されたとする、沈降説が主流であった。しかしながら、大陸縁辺の島棚に発達するサンゴ礁で、しかも完新世も含め第四紀全般を通して、活発な地殻変動を継続している石西礁湖の堡礁は、地殻変動により、それ以前の基盤(おそらく更新世の琉球石灰岩)の高まりを土台にして、上方に発達したものと推察された(先行カルスト説)。本研究は石西礁湖の掘削および浅層反射法により、上述の推察の妥当性を検証することにある。本研究により以下の点が明らかになった。 1)石西礁湖における完新世さんご礁の基盤は、予想通り、更新世の琉球石灰岩である。 2)石西礁湖の東部における琉球石灰岩の上面深度は、全体として平坦である。一方、石西礁湖の西部における琉球石灰岩の上面深度は凹凸を呈する。 3)上述の平坦地形は、完新世海面変動のある時期での海面安定期を示唆する。 4)琉球石灰岩の上面深度は、水深が15m〜25m程度で、東縁部および竹富島東南部の沖合にかけて水深が浅くなる。この特徴は上述した「先行カルスト説」を支持する。この研究結果は、琉球列島の堡礁の要因を、掘削および浅層反射法により明らかにした初めての成果である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kawana,T.and Kan,H.: "Holocene barrier reefs in the the Sekisei Lagoon,the Ryukyus" Coral Reefs. 発表予定.
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[Publications] Kan,H.and Kawana,T.: "Barrier reefs in the high latitude" Quaternary Research. 発表予定.
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[Publications] 河名俊男・菅浩伸: "琉球列島南部石西礁湖における堡礁の成因" 地理方詳論. 発表予定.