1997 Fiscal Year Annual Research Report
発達障害児の注意・認識機能の診断,評価とその指導に関する実験的,実践的研究
Project/Area Number |
09308005
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
諸富 隆 北海道大学, 教育学部, 教授 (60003951)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 俊英 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (60251568)
谷口 清 秋田大学, 教育学部, 教授 (50200481)
室橋 春光 富山大学, 教育学部, 教授 (00182147)
尾崎 久記 茨城大学, 教育学部, 教授 (40092514)
片桐 和雄 金沢大学, 教育学部, 教授 (00004119)
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Keywords | 発達障害 / 注意認識機能 / 診断・評価法 / 発達神経心理学モデル / 指導技法 |
Research Abstract |
我々の4年間の研究課題は,以下の3点である.1.発達神経心理学モデルの構築,2.本モデルに基づく診断・評価法の開発,3.形成実験を通した発達神経心理学モデルの検証と指導技法の開発.本年度における重度脳障害,知能障害,自閉症,学習障害研究グループの研究業績は以下の通りである.(1)生理的反応(随伴性陰性変動と心拍)と行動反応(注視と快表情)を指標に重度脳障害者の期待反応を測定し,重度脳障害者の診断評価を行うための測定条件と評価基準の一部が特定された.(2)自閉症児(7〜12歳)を対象に誤信念課題(社会性発達検査),触覚-運動覚検査,ジャンケン課題.知能検査等を実施し,自閉症児の社会性発達の異常と感覚-運動系の異常との間の関係の詳細な分析を開始した.(3)事象関連電位を指標として自閉症の表情認識について分析し.健常者と自閉症者とでは,表情の処理半球が異なるという事実を見出した.この結果と自閉症の表情認識に関するこれまでの研究に依拠して自閉症の表情認識モデルを提出した.(4)自閉症児及び重度知能障害児を対象に事象関連電位のP3複合及び聴性脳幹反応を測定し,注意・認知機能の診断指標としてのP3複合の有用性について研究を進めた.(5)認知処理に関するPASS(Planning,Attention,Simultaneuous,Successive)モデルに基づき各機能単位の測定を可能にするための予備的検討を学習障害児及び知能障害児を対象に行った.(6)文章刺激と絵画刺激に対する学習障害児の眼球運動(特に注視点の数と左右差)の測定から学習障害のタイプ(言語性と動作性)によって大脳半球間の情報処理特性が異なるとの結果を得た.(7)幼児及び知能障害児の触察課題及び視覚課題解決過程を多角的・同時的映像画像分析システムによって分析評価し,同システムの有効性を確立した.(8)陣害児の視認知系を総合的に診断評価する指標を得るために,物体視系と空間視系における並列的情報処理に対応する視覚誘発電位を析出する基礎的研究を丹念に行い,その見通しが明らかになった.各研究グループでは,これらの研究に基づきながら発達神経心理学的モデルの構築へ向けての検討を進めている.
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