1999 Fiscal Year Annual Research Report
発達障害児の注意認知機能の診断・評価とその指導に関する実験的,実践的研究
Project/Area Number |
09308005
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
諸冨 隆 北海道大学, 教育学部, 教授 (60003951)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 清 秋田大学, 教育学部, 教授 (50200481)
室橋 春光 富山大学, 教育学部, 教授 (00182147)
片桐 和雄 金沢大学, 教育学部, 教授 (00004119)
小池 敏英 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (60251568)
尾崎 久記 茨城大学, 教育学部, 教授 (40092514)
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Keywords | 発達障害 / 注意認知機能 / 事象関連電位 / 自閉性障害児 / 学習障害 / 重度脳障害児 / 診断・評価 |
Research Abstract |
本年度は,以下のような研究成果を得た. 1.重度脳障害における心拍指標の持続性変動(RSA)について検討し,RSAが一過性心拍反応が未分化な最重度脳障害例への援助における有効な指標であることが確認された. 2.重度脳障害における期待分化形成に及ぼす援助者の介入効果について実験的検討を行い,重度脳障害において明瞭に期待分化形成が生じ,介入効果が認められた.また,重度脳障害の指導効果を評価できるシステムの開発を目的に,期待心拍反応の縦断的研究を開始し,形成過程の分析評価が可能であるとの見通しを得た. 3.自閉症児の対人・社会性障害モデルとして大脳辺縁系扁桃核障害を中心とする障害モデルを構成した.このモデルを検証するために事象関連電位のMMNによる検討を進めた. 4.障害児の認知機能の評価指標は,異なる発達・障害レベルに対する広い適用可能性が求められる。今年度もP300について検討し,自閉性障害児の反応にはP3aが優位に出現する群とP3a/bともに欠如する群の二つのタイプがあることを確認した。これは,聴覚情報処理系における自閉性障害児の異質性を支持し,診断評価法の開発に有効な知見を得た. 5.自閉性障害児の数的記号処理について事象関連電位を指標に実験的検討を行い,数的記号処理に問題がある事が明かになり,数の指導法についての有効な知見を得た. 6.学習障害児の構音処理について事象関連電位のP300およびMMNを指標に検討を行い,欧米の学習障害児と異なり,日本人の場合構音処理に問題が認められないとの結果を得た. 7.学習障害児の実行機能障害の評価について教育現場で使用し得る評価課題の開発し,健常学童についての基準データを作成した。この評価法で明らかになった学習障害児の機能障害について発達援助を行い,その指導方法法を検討した. 8.昨年に引き続き,視覚系における物体視系と空間視系の指標としての視覚誘発電位の析出を行い,運動視の指標として頭頂後頭部導出のN200が有効であることを明らかにした.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 水内,片桐,梶原,石川: "重度心身障害者の一過性心拍反応と持続性心拍変動に見られる発達的連関"小児の精神と神経. 39・3. 217-228 (1999)
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[Publications] 北島善夫: "乳児における対人期待反応の発達過程-心拍指標による検討-"千葉大学教育学部研究紀要. 48. 157-164 (2000)
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[Publications] 諸岡,谷口,神,松野: "健常幼児及び知的障害児における言語の行動調整機能"特殊教育学研究. 36・3. 11-21 (1998)
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[Publications] 谷口清: "自閉症の神経生物学-症候学から原因論へ-"障害者問題研究. 26・2. 265-275 (1998)
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[Publications] 室橋春光: "学習に困難を持つ子どもの眼球運動-その2"生理心理学と精神生理学. 17・2. 170 (1999)
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[Publications] 室橋春光,諸冨隆他: "発達障害児の注意・認知機能の生理心理学的評価とその指導"特殊教育学研究. 39・5(印刷中). (2000)