1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09354008
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山崎 巌 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80002111)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小石 結 浜松ホトニクス株式会社, システム事業部, 部長代理(研究職)
秋本 誠志 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40250477)
西村 賢宣 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (60218211)
太田 信廣 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (70113529)
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Keywords | フェムト秒時間分解蛍光 / 蛍光アップコンバージョン法 / 有機薄膜 |
Research Abstract |
近年、高速・高密度光記録や超高速光スイッチング素子の開発へ向けて研究が進められているが、これらの研究においては、光励起分子の超高速反応過程を追跡することが基本的であり、これまでのピコ秒領域から一歩進んでフェムト秒領域での計測が必要となっている。本研究では、申請者らが考案した新しい技術的な工夫、ロックイン法式蛍光アップコンバージョン法に基づく装置を作製し、汎用装置を開発することが目的である。 (1)ロックイン検出方式による蛍光アップコンバージョン装置の製作 本年度は本装置の基本構成を製作し、その性能を調べ期待された特性を得ることができた。ポンプ光レーザーとしてLD励起高出力固体レーザー(設備備品として購入)とTi:Sapphireレーザー(北大工学部既設)を組み合わせて用い、これによってパルス幅80fsのレーザー光が取り出された。基本波と2倍波は2色性ミラーによって分けられ、基本波はプローブ光として用い、2倍波は光学遅延ステージにおいて最小遅延時間6.7fsの遅延を受けた後試料に照射される。試料からの蛍光と基本波は集光レンズによって非線形光学素子BBO結晶に集光され、ここで和周波光が発生する。この信号光はロックイン検出装置により検出され、先ず試料への励起光を回転チョッパーによって矩形波として照射し、これを参照信号とし、和周波信号を参照信号と同じ位相の測定信号を整流して取り出すことによってなされる。その結果、雑音成分としてのレーザー基本波とその2倍波はほぼ完全に除去することができ、従来の方法と比較して測定精度を50倍向上させることができた。 (2)有機薄膜を用いたフェムト秒蛍光分光の実験による特性評価試験 本装置の中心となる部分がつくられた段階で、実際に試料をもちいて特性評価試験を行った。いくつかの合成組織化分子を用いて、超高速電子移動・励起移動反応とそのスイッチング特性を測定し、それによって装置の時間分解能は20フェムト秒、10ミクロン程度の有機薄膜について測定可能であることがわかった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] I.Yamazaki, S.AkimotoN.Ohta: "Non-equilibrium excitation energy transfer in sequential stacking molecular systems" J.Luminescence. 72/74. 71-74 (1997)
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[Publications] N.Ohta, T.Nomura I.Yamazaki: "External electrifield effect on photoinduced interlayer electron transfer in LB films" J.Photochem.Photobiol.106. 37-43 (1997)
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[Publications] M.Mimuro, S.Akimoto, I.Yamazaki: "Effect of molecular structures and solvents on the excited state dynamics of the S2 state of carotenoids" J.Am.Chem.Soc.119. 1452-1453 (1997)
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[Publications] N.Ohta, M.Koizumi, Y.Nishimura, I.Yamazaki: "External electric field effects on fluorescence in an electron donor and acceptor system" J.Phys.Chem.100. 16466-16471 (1997)
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[Publications] 山崎 巌, 大須賀篤弘, 三室 守, 太田信廣: "分子系超構造における光量子ダイナミクス-光合成系から分子コンピューターへ" 表面. 35. 418-424 (1997)
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[Publications] 三室 守, 山崎 巌: "光エネルギーを運ぶ分子配列によるハイウエーの設計" 化学と工業. 50. 713-716 (1997)
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[Publications] 山崎 巌: "光コンピューティングの事典" 朝倉書店, 534 (1997)