1998 Fiscal Year Annual Research Report
サルヘルペスウイルスBの検査法並びに診断法の確立に関する研究
Project/Area Number |
09400014
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
佐藤 浩 長崎大学, 医学部, 助教授 (50072947)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有川 二郎 北海道大学, 医学部, 教授 (10142704)
速水 正憲 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (40072946)
万年 和明 大分医科大学, 医学部, 助教授 (20145361)
佐藤 徳光 新潟大学, 医学部, 助教授 (00111716)
八神 健一 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (40166476)
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Keywords | サル / Bウイルス / ヘルペスウイルス |
Research Abstract |
サルヘルペスウイルスB(以下、BV)に対するニホンザルの抗体スクリーニングのためにヒトヘルペスウイルスのHSV1を代替抗原としての利用性を検討した。その結果、HSV1全糖蛋白抗原gP及びgD抗原に対するELISA価はBV全抗原に対する抗体価と相関した。またHSV1を使用した中和試験(NT)も実施したところ、BVに対してELISA価3+と判定された血清は512倍以上、2+価血清では128倍のNT抗体価があり、両試験において良く相関した。これらの成績はウエスタンブロット試験でも裏付けされ、BV抗体検査のための第一次スクリーニングとして、HSV抗原を用いることが可能であるとの示唆が得られた。さらに、HSV1よりも高い特異性が得られる可能性として、ヒヒのヘルペスウイルスであるHVP2抗原を用いた研究を行った。日米の陽性陰性合計350検体のアカゲ、カニクイ、ニホン、ブタオの各種マカク血清を検査した結果、このHVP2抗原を用いてもマカクのBV感染の診断が充分可能と判定した(99%相関)。なお、遺伝子レベルでBVのタイプがマカクの種によって異なることが最近報告されたが、血清学孫に検索した結果もその傾向を示唆した。さらにPCR法を用いた遺伝子診断法の開発の試みを行ったところ、PCR産物の長さのみでどのタイプのBVなのかを診断できるプライマーを設定することに成功したが、この遺伝子診断法を実用化するには唾液や脳脊髄液などの血清以外の診断材料を数百検体収集する必要があると考えられ将来の課題として残された。 血清学的診断法に用いる組換えウイルス抗原の作出の試みとして、BVの2種類の糖タンパク抗原を哺乳類細胞で発現させることに成功したが、一つは細胞表面への発現量が診断抗原として充分量ではなかったことが判明し、あとのは哺乳類細胞への毒性が強く、細胞を継代維持できずに非実用的であると判定された。
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