ルネサンスにおける自然観の総合的研究

1997 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 09410001
• Research Category: Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
• Research Institution: Saitama University
• Principal Investigator: 伊藤 博明 埼玉大学, 教養学部, 助教授 (70184679)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 伊藤 和行 京都大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (60273421) ; 根占 献一 学習院女子短期大学, 教授 (50208287) ; クラウス リーゼンフーバ 上智大学, 文学部, 教授 (60053633) ; 斎藤 寛海 信州大学, 教育学部, 教授 (00020628) ; 中江 彬 大阪府立大学, 総合科学部, 教授 (20079007)
• Keywords: ルネサンス / 自然観 / 新プラトン主義 / シンクレティズム / ブルーノ

Research Abstract

1 本年度の全体的研究活動としては、研究代表者・研究分担者および多くの研究協力者の出席によって、平成9年6月(学習院女子短期大学)と12月(同志社大学文学部)で開催した研究発表会が挙げられる。
2 上記研究会においては、各専門領域からの研究発表を行ったのち、討論を通じて「ルネサンスの自然観」の総合的把握を行なおうと試みた。この過程で明らかになったことは、近年のルネサンス研究の飛躍的な発展により、各分野で従来の諸解釈の見直しが行なわれている点であり、こうした研究動向を踏まえて、あらためて総合的把握のための共同研究の必要性が痛感させられた。
3 研究上の課題としてとくに議論されたのは、ルネサンスが前提とするキリスト教的自然観が、ギリシア・ローマの文化の復興を経ていかに変容したのか、また、勃興しつつある合理的・数学的自然観をいかに受容していったのかという点である。この問題は、各研究分野に応じてさまざまな展開が見られるが、全体的な展望を獲得するために、15世紀フィレンツェの新プラトン主義の特徴であるシンクレティズム(諸説混合)をひとつの視座と措定する可能性が提起された。
4 そのほか、研究課題に関わる邦語ルネサンス研究文献目録の作成のために資料の収集を行ない、コンピュータへの入力作業を行った。また、研究情報の交換と研究成果の公開を目的とする、インターネット上のホームページ作成のための準備作業を行なった。

Research Products

• [Publications] 斎藤寛海: "トスカ-ナ大公国の領域構造ーコジモ一世時代" 信州大学教育学部紀要. 第90号. 71-82 (1997)
• [Publications] 斎藤寛海: "イタリアの都市と国家" 岩波講座・世界歴史. 第8巻. (1998)
• [Publications] 前之園幸一郎: "イタリア・ルネサンス期における伝統的家族の解体と子どもへのまなざし" 青山学院女子短期大学紀要. 第51号. 17-42 (1997)
• [Publications] クラウス・リ-ゼンフーバー: "Der Streit um die ratio in der Fruhscholastik" Miscellanea Mediaevalia. vol.26. (1998)
• [Publications] クラウス・リ-ゼンフーバー: "シャルトルのティエリにおける一性の算術と形而上学" ヨーロッパ中世の自然概念. (1998)
• [Publications] クラウス・リ-ゼンフーバー: "中世の修道院霊性における自己認識の問題" 聖ベネディクトゥスと修道院文化. (1998)
• [Publications] 大黒俊二: "「危険ユエニ説教スベカラズ」(シエナのベルナルディーノにおける商業・商人観)" ステイタスと職業. 156-180 (1997)
• [Publications] 本田誠二: "スペイン牧歌文学における異教的伝統(その3)" ルネサンス研究. 第4巻. 1-29 (1997)
• [Publications] 岡田温司: "ミ-ス以後の「ペスト以後」ー研究の現状と課題" 研究紀要(京都大学文学部美学美術史学). 第18号. 77-121 (1997)
• [Publications] 岡田温司: "「マニエリスム」論再考ー解釈されたマニエリスム" 京都大学総合人間学部紀要. 第4号. (1997)
• [Publications] 岡田温司: "「だが君、それをどう我々の意味にあてはめるつもりかね」" 美術史. 第144号. 182-197 (1998)
• [Publications] 三浦伸夫: "最古のラテン語数学問題集" 国際文化学研究. 第8号. 157-196 (1997)
• [Publications] 清瀬 卓: "ルネサンスにおける大プリニウス(4)" 京都外国語大学研究論叢. 第49号. 483-502 (1997)
• [Publications] 清瀬 卓: "ルネサンスにおける大プリニウス(5)" 京都外国語大学研究論叢. 第50号. 415-435 (1998)
• [Publications] 中江 彬: "漱石の『草枕』におけるミケランジェロ" 大阪府立大学人文学論集. 第16巻. 17-38 (1998)
• [Publications] 中江 彬: "漱石の『吾輩は猫である』とミケランジェロ" 大阪府立大学紀要C(人文・社会科学). 第46巻. 1-13 (1998)
• [Publications] 伊藤和行: "ガリレオ・デカルト・ホイヘンス" 科学哲学. 第30巻. 15-28 (1997)
• [Publications] 伊藤和行: "ジロラモ・フラカステロの伝染理論" 日本医史学雑誌. 43巻1号. 59-67 (1997)
• [Publications] 根占献一: "ロレンツォ・デ・メディチ" 南窓社, 326 (1997)
• [Publications] 根占献一: "東西ルネサンスの邂逅" 東信堂, 244 (1998)
• [Publications] 岡田温司: "ルネサンスの美人論" 人文書院, 244 (1997)