1997 Fiscal Year Annual Research Report
日本人における関係性の意味構造ー自己認識、感情、家族の発達・社会心理学的検討ー
Project/Area Number |
09410036
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Research Institution | Shirayuri College |
Principal Investigator |
柏木 恵子 白百合女子大学, 文学部, 教授 (10086324)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 祥子 山村女子短期大学, 国際文学科, 専任講師 (70286889)
唐澤 真弓 白百合女子大学, 文学部, 助手 (60255940)
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Keywords | 関係性 / 社会化 / 家族観 / 個人差 / 世代差 |
Research Abstract |
本研究は、日本人の関係性の心理的構造をより日常的な態度・生活・行動について検討することにより、その機能を明らかにすることである。本年度は、研究1、2を並行して行った。研究1)日本における関係性の社会化の様相(唐澤・柏木):幼児が、自己と他者との関係をどのようにとらえ、そのことによって自己の行動をどのように制御するかについて、まず、関連する資料を収集した。次に、日本の文化的価値としての行動制御の規範について、どのような関係性が行動規範となり、また行動を制御するかを検討した。男女大学生160名に対して、この一年間を振り返るとどのようなことが起こったかを自由に記述するよう求めた。その内容から日本における関係性がどのように発現するかを検討した。その結果、自分のうまくいかなかったことや障害などを自発的に見いだし、それを矯正しようとする反省スクリプトが見いだされた。こうした自己批判的傾向が幼児にも見いだされるかどうかについて、検討を行った。幼児における関係性のとらえ方について方法を検討し、次年度のデータ収集を企画した。 研究2)日常的文脈における関係性(大野・柏木):わが国の成人にとって関係性がもつ正の側面と負の側面を明らかにし、現代目本における関係性の意味とその変化を多角的に吟味することを目的とした。結婚・家族に関する心理学・社会学・文化人類学・人口学等の関連文献、資料を収集し、問題点の整理、方法論および仮説の検討を行った。その上で、探索的に、家族についての価値観の個人差及び家庭内での個人間の相違を見るために、女子大学生とその母親を対象に質問紙を実施した。その結果、家族に対する世代差、個人差が明らかになった。その上で、配偶者選択などについての、構造化しないディープインタビュー、文章完成法、家族システムに関するインベントリ-等の方法を用いた面接について、方法論的な検討を行い、次年度のデータ収集を準備した。
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