1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09410102
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今村 啓爾 東京大学, 大学院・人文社会研究科, 教授 (70011765)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大貫 静夫 東京大学, 大学院・人文社会研究科, 助教授 (70169184)
後藤 直 東京大学, 大学院・人文社会研究科, 教授 (20292732)
宇田川 洋 東京大学, 大学院・人文社会研究科, 教授 (50107520)
佐藤 浩之 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (50292743)
安斉 正人 東京大学, 大学院・人文社会研究科, 助手 (60114360)
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Keywords | 旧石器文化 / 縄文文化 / 弥生文化 / 石器 / 文化圏 / 日本文化 / 東アジア / 地域性 |
Research Abstract |
本年度は石器、土器以外の遺物および遺構を中心に研究を進めた。しかしそのすべてを扱うことは困難であり、骨角器のうち銛頭、宗教的遺物のうち土偶と石棒、遺構については住居址のデータ収集と分析が中心になった。とくに北方の銛頭を宇田川が、土偶を今村が、住居址を大貫がとりあげた。また後藤は日本と朝鮮の農耕を中心とする生業の差を検出することに努め、熊木はオホーツク文化の位置付けを検討した。どの分野についても相当な数の先行研究があり、その把握が最初の課題となった。また先行研究の成果を総合し、日本全体の位置付けを求めることが意識的に進められた。銛頭についてはこれまでとりあげた土器や石器に見る地域差と違って、日本列島内での地域差が非常に大きく、北海道の銛頭は独白の伝統を保持して展開する。この種の遺物が縄文文化の範囲よりもむしろ環境に大きく関係する性質のものであることが示された。土偶についても同様に日本列島内における変異が大きく、日本の中央部ではこれが早くからあるが,縄文文化の分布圏ほぼ全体に広がるのは後期のことである。住居址については、竪穴住居という型式が資源的状況に原因する生業形態と定住性に強く関連すること、そのアジアにおける広がりの過程が暖房施設の発達と密接な関係をもつことが大貫によって明らかにされた。そのほか今村は沖縄の八重山地域と台湾の現地調査を行ない、多くの情報を得るとともに日本的文化の南限の問題に取り組んだ。 本年は10月と1月に調査の報告会と討論会をもち、これまでの成果を振り返るとともに、残すところ1年となったこの課題の調査報告書のまとめ方について意見が交換された。基本的には研究成果公開促進費による出版助成費を申請し、単行本の形での出版を目指すことになった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 大貫静夫: "東北アジア先史社会の変容と極東の成立"日本考古学協会1999年度大会研究発表要旨. 7-8 (1999)
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[Publications] 大貫静夫: "東アジアの土器の出現"縄文世界の一万年. 32-33 (1999)
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[Publications] 後藤直: "青銅儀礼具の日・韓の差異"第3回歴博国際シンポジウム. 3. 157-161 (2000)
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[Publications] 後藤直: "日韓の青銅器-副葬と埋納"尹世英先生退任記念論文集. (印刷中). (2000)
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[Publications] 今村啓爾: "縄文の実像を求めて"吉川弘文館. 216 (1999)