1998 Fiscal Year Annual Research Report
人類定住に関するエスノアーケオロジー研究-多工程技術・構造物整備・空間認識理解-
Project/Area Number |
09410106
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
山田 昌久 東京都立大学, 人文学部, 助教授 (70210482)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤田 秀実 東京都立大学, 人文学部, 助手 (40264577)
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Keywords | 定住社会 / エスノ・アーケオロジー / 多工程技術 / 構造物整備 / 空間認識 |
Research Abstract |
考古学が遺跡・遺物の範囲を拡大した結果、調査や資料研究は従来知のなかに収めきれなくなり、地質・生物学の分析化学の遺跡研究への浸透は、大学の考古学講座の枠組みさえも変更させようとしている。また、考古学は、遺跡や遺物を研究素材としているが、それらを研究することが目的化されて現在に至っている。人類生活を解明することという目的にたてば、考古学・文献史学・民族学・民俗学など、分化された各人文科学は目的別に再編成される必要がある。つまり、素材で別れている人文科学は、社会科学を含めて「目的と手段」両者を問い直す時期に到達した。 そうしたなかで、本研究は、定住社会の摘出比較研究に必要な情報は何か、その「方法」や「資料設定」について、根本から捉え直そうとする試行研究である。 本年は、岐阜県宮川村と岩手県浄法寺町周辺で、 (1)物資の交換(市)調査、(2)専門技術者の工房調査、(3)道具の作業痕跡からの技術復元、(4)作業についての聞き取りからの技術復元、(5)居住家屋の構造調査、(5)家屋空間の機能調査、(7)繊維製品の聞き取りからの技術復元、(8)繊維製品の道具調査からの技術復元、(9)漆器の形状や文様についての分析からの時間・製作者復元研究、といった項目の調査をした。 物品に交換は品目ごとにその形態が異なり、物品の形やデザインの違いに反映する要因差もある。それらを従来の考古学研究の設定課題と対比させて、研究条件を再構築するためのデータとして分析する作業が、現在進行している。その成果は、昨年同様に、『人類誌集報1999』として4月に刊行する予定である。
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