1997 Fiscal Year Annual Research Report
地中レーダー探査の手法を用いた広域遺跡調査法の開発研究
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09410109
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Research Institution | Nara National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
西村 康 奈良国立文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 室長 (80000488)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DEAN Goodman 奈良国立文化財研究所, 客員研究員 副所長
花谷 浩 奈良国立文化財研究所, 飛鳥藤原宮跡発掘調査部, 主任研究官 (70172947)
岩永 省三 奈良国立文化財研究所, 平城宮跡発掘調査部, 主任研究官 (40150065)
巽 淳一郎 奈良国立文化財研究所, 飛鳥藤原宮跡発掘調査部, 室長 (10110090)
山中 敏史 奈良国立文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 室長 (90000504)
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Keywords | 遺跡探査 / 地中レーダー探査 / 電磁誘導探査 / 広域遺跡 / 集落遺跡 / 宮衙遺跡 |
Research Abstract |
本研究は、地中レーダーの方法を応用して、広範囲にわたる遺跡である集落や官衙遺跡を対象に、1)発掘調査に必要な地下情報を提供すること、2)遺跡の構造と性格を推定すること、3)全体の範囲を限定して遺跡の保存に資すること、を目的としている。 そのためには、まず、地中レーダー探査における有効探査深度の増大を実現することを課題とした。 この探査深度増大を図る実験をする遺跡としては、長崎県の壱岐・原の辻遺跡を中心に考えた。ここでは、集落をとりまく環濠の遺構が粘土質の水田土壌下にあり、しかもそれは3mもの深さに埋もれている。このように浸潤な土壌環境では、電波の減衰が大きく、従来の探査手法では1mの深さを探るのも困難と思われる。もし、ここで環濠を明らかにする手法が確立できれば、レーダー探査の応用範囲が飛躍的に拡大するはずである。 環濠を対象とした実験測定では、有効フィルターの周波数帯選択や重合処理での適切な回数を決めるため、試行錯誤した。また、平面図作成に有効な独自のゲイン設定に工夫をした。 その結果、少なくとも3m程度の深さにおける環濠の状況を、捉えることに成功した。この探査結果は、電磁誘導探査による結果と類似しており、信頼できる成果と考えている。しかしながら、この結果は平面図作成という研究独自のデータ処理方法に基づくもので、一般的な断面画像の観察によるものではない。 今後は、断面画像でも表示できる手法を開発して、一般におこなっわれる地中レーダー探査にも役立つように、改良することが必要と考えている。
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