1998 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロレンズアレイ高速2次元分光診断による太陽彩層・コロナ活動現象の研究
Project/Area Number |
09440094
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
末松 芳法 国立天文台, 太陽物理学研究系, 助教授 (50171111)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 浩 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80000850)
宮下 正邦 国立天文台, 乗鞍コロナ観測所, 助手 (50209904)
今井 英樹 国立天文台, 乗鞍コロナ観測所, 助手 (10012874)
一本 潔 国立天文台, 太陽物理学研究系, 助教授 (70193456)
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Keywords | 3次元同時分光観測 / マイクロレンズアレイ / 太陽フレア |
Research Abstract |
太陽で起こるフレアや紅炎噴出など、ダイナミックでトランジエントな空間的にも局在化した現象を捉え、理解するには、広い波長域で、空間2次元同時に情報を取得することが必要である。このような観測を可能とするため、本研究ではマイクロレンズアレイその他必要な光学系を既存の望遠鏡・分光器に組み込み、高速な2次元分光装置の開発を試みている。前年度の研究では、最適なマイクロレンズアレイの諸元を求めた。本年度は、このマイクロレンズアレイの性能評価、国立天文台・三鷹での2次元分光観測評価を行ったので、概要を報告する。 (1) マイクロレンズアレイ評価: 使用するものは50×50配列のレンズ(PMMA製)からなり、1つのレンズが口径600μm角、焦点距離28.2mm(口径比47)である。レンズピッチのばらつきは約±2μm程度、焦点距離のばらつきは±500μm程度と良好であった。レンズ面に口径の1/10程度の小さなくぼみが見つかったが、結像性能には大きな影響がなく、レンズの波面収差はλ/20rms程度と見積もられた。総合的には十分目的にかなうものであることがわかった。 (2) 三鷹での観測評価: 既存のヘリオスコープ装置にマイクロレンズアレイ、拡大光学系、縮小光学系を組み込み、1500×1000画素のCCDカメラにて、20Å幅のHα線スペクトルを0.l3Å間隔で取得、空間1.4″×1.4″間隔で57″×57″の視野を同時に分光観測することに成功した。Hα線のそばの地球大気吸収線も確認でき、波長較正に用いられることが確認できた。現在、観測データ集積し、同時に解析用のソフト開発を行っている。太陽2次元同時分光の特徴は、太陽スペクトル線が深さ方向の情報を含んでいるため、実際、空間3次元の情報が得られることである。さらに速度場においては、空間2次元からの見かけの運動とスペクトル線による視線方向運動から3次元の速度場を求めることが可能で、成果が期待できる。また、他の観測装置と組み合わせてHα線以外の波長域の観測も行う予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 末松芳法,大谷浩,他: "太陽用3次元同時分光装置によるフレア・紅炎観測計画" 太陽研究会「次期太陽活動極大期に向けて」. 189-195 (1998)
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[Publications] Y.Suematsu: "Solar Spicules:A Briet Review of Recent High-Resolution Observations" Solar Jets and Coronal Plumes (ESA). SP-421. 19-28 (1998)
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[Publications] Y.Suematsu,Y.Nishino,他: "Horseshoe Shaped Hα Solar Flares on^<13>Oct and Energing Flux Model" Observational Plasma Astrophysics (As.Sp.Sci.Lib.). 229. 209-214 (1998)
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[Publications] 今井英樹,末松芳法,他: "黒点・白斑スケッチの自動化システム" 国立天文台報. 4・1. 1-7 (1998)