1998 Fiscal Year Annual Research Report
食植性テントウの食草変換過程に関する進化生物学的研究
Project/Area Number |
09440258
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
片倉 晴雄 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40113542)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 秀樹 新潟大学, 教育人間科学部, 助教授 (10282972)
西田 律夫 京都大学, 農学部, 助教授 (30135545)
青塚 正志 東京都立大学, 理学部, 助教授 (40106604)
中村 浩二 金沢大学, 理学部, 教授 (70111755)
木村 正人 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (30091440)
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Keywords | オオニジュウヤホシテントウ種群 / アザミ属 / 種分化 / 共進化 / 雑種解析 / 分子系統 / 摂食阻害物質 |
Research Abstract |
1998年には以下の成果を得た。 1) 東北地方の2カ所(岩手県田老町、宮城県作並)から同所的なルイヨウマダラテントウとヤマトアザミテントウを採集し、形態、食性、およびアロザイム分析を行った。その結果、地域によって食性の違いによってもたらされる生殖隔離の程度が異なり、田老町のルイヨウマダラとヤマトの間には遺伝子流動が生じていることが強く示唆された。 2) カガノアザミに含まれるヤマトアザミテントウの摂食を阻害する化学物質はフラボノイドであることがほぼ確実になった。現在最終的な構造決定を行っている。さらに、同一あるいは極めて類似した物質がマルバヒレアザミにも含まれており、エゾアザミテントウ、ヤマトアザミテントウの摂食阻害物質となっていることもほぼ確実になった。 3) テントウの寄生特異性の遺伝的背景を、異なった食草を利用するオオニジュウヤホシテントウを用いて検討した。テントウの食草利用能力は量的遺伝形質であることが明らかになった。 4) 北海道南部に優占するチシマアザミ、マルバヒレアザミ、ミネアザミの形態的、分子系統学的解析をおこなった。これらのアザミは形態上は明瞭に区別され、開花時期も異なり、マルバヒレアザミのみがテントウによる加害を受けない。しかし、葉緑体のITS領域および核のtrnLスペーサー領域の塩基配列を決定し比較したところ、これらのアザミは遺伝的には極めて近縁であり、同所的な種間では相当程度の遺伝子浸透が生じていることが示唆された。一方、石川県から京都にいたるヤマトアザミテントウ6集団の遺伝的分化をmtDNAによって調査したが、テントウ集団間の遺伝的分化は食草としているアザミの種類の違いとは対応していなかった。 5) 日本列島南部のマダラテントウ類の生態調査の過程で、日本未記録のEpilachna pusillanimaの発生を石垣島において確認し、食性、分布について調査を行った。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kadota, Y.: "Taxonomic studies of Cirsium(Asteraceae)in Japan V.Cirsium umezawanum, a new species from Island Rishiri, Hokkaido and a new white-flowered form of C.anplerifelium." Bull.Natn.Sci.Mus., Tokyo, Ser.B,. 24(4). 147-156 (1998)
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[Publications] Nakano, S.et.al.: "Morphology and biology of a phytophagous ladybird beetle, Epilachna pusillanima (Coleoptera;Coccinellidae)newly recorded on Ishigaki Island the Ryukyus." Appl.Entomol.Zool.34(印刷中). (1999)
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[Publications] Ueno, H.et.al.: "Genetic basis for normal and novel host plant use in a herrivorous ladybird beetle, Epilachna vigintioctomaculata." Entomol.Exp.Appl.90(印刷中). (1999)