1997 Fiscal Year Annual Research Report
土木鋼構造物のダクティリティーの向上のためのせん断型塑性リンクの開発
Project/Area Number |
09450179
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
福本 こう士 福山大学, 工学部, 教授 (10023045)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 泰男 日本鋼管(株), 総合材料技術研究所, 鋼材研究室長
藤井 堅 広島大学, 工学部, 助教授 (60127701)
中村 雅樹 福山大学, 工学部, 助手 (80164333)
上野 谷実 福山大学, 工学部, 教授 (40034376)
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Keywords | 繰り返しせん断荷重 / 塑性リンク / ダクティリティー / 鋼製橋脚 / プレートガーダー / 斜張力場 / 極低降伏点鋼 |
Research Abstract |
本研究は高架橋を支える鋼製橋脚構造に過大な地震力が作用する場合、交番に作用するせん断力による腹板の数パネルにわたって形成される斜張力場を積極的に利用して、大きな塑性変形性能(ダクティリティー)を発揮できるような構造システム(せん断型塑性リンクと呼ぶ)を新たに考案し、開発するものである.このせん断型塑性リンクのアイデアを実現するためにプレートガーダーの繰り返しせん断面載荷実験を行った.実験の供試体は普通鋼材(SM400)や低降伏点鋼材(LY100)を用いて模型桁(スパン長224cm、桁高80cm、腹板厚4,5,7mm)を10体製作した.地震力を想定した繰り返しせん断載荷実験は模型桁(腹板:800×800mm,フランジ:300×12mm)の腹板厚が3種類4,5,7mm(幅厚比:200,160,114)について行い,弾塑性座屈挙動,最大耐荷力後の変形性能および損傷状態などを調べた。繰返しせん断面荷重は降伏せん断変位の整数倍で載荷した.この実験結果より,弾性座屈は最初の荷重サイクルで起こり,その後も耐荷力は後座屈強度により最大荷重に達するまで増加する.その後,繰返しせん断荷重によって腹板の面外たわみが増加して最大耐荷力は3サイクル目まで漸減する.それ以後も腹板の面そとたわみは増加するが,せん断変形の特性である張力場作用によって耐荷力は一定に保たれることが明らかになった.これはせん断変形に比例してエネルギー吸収量が増大することを意味する.すなわち,プレートガーダー腹板のせん断変形によって過大な地震荷重エネルギーを吸収する構造形式にすれば,曲げや軸圧縮変形に比較して著しく大きな塑性変形性能が発揮できることを示唆している.平成10年度は引き続き腹板に低降伏点鋼材を用いた模型桁の載荷実験を行い,外力のエネルギー吸収において低降伏点鋼と普通鋼との差異を明らかにする予定である.
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