1999 Fiscal Year Annual Research Report
揮発性有機化合物に起因するシックハウス症候群の実態と防止対策に関する研究
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09450220
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
小峯 裕己 千葉工業大学, 工学部, 教授 (20114481)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾上 薫 千葉工業大学, 工学部, 教授 (40265468)
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Keywords | 揮発性有機化合物(VOCs) / ホルムアルデヒド(HCHO) / 発生速度定数 / 高断熱・高気密住宅 / 24時間空調換気システム / 化学物質濃度測定 / 接着剤 / 疫学的調査 |
Research Abstract |
1.接着剤から発生するVOCs(揮発性有機化合物)成分の評価法 直接抽出法と吸着剤で捕集した発生成分を溶剤抽出する間接抽出法を併用し、市販の接着剤からの発生速度定数の検討を行った。a)合成ゴム系、b)塩化ビニル系、c)セルロース系、d)酢酸ビニル系の市販の接着剤を塗布した小片を熱天秤内のセルに装填し、293Kで所定時間空気を流通させ揮発の促進を行った。その結果、4種の接着剤からアルコール類、炭化水素類、ケトン類など30種以上のVOCs成分の発生が確認された。個々の成分の発生速度が試料中の残存量に一次で進行すると仮定し発生速度定数を算出した結果、上記に類別したグループ内では発生速度定数は沸点と負の相関が得られることを確認した。 2.VOCs・HCHOに起因する集合住宅、高断熱・高気密住宅におけるSHS発症に関する実態調査 化学物質放散量の少ない内装建材、24時間空調換気システムを設置している高気密・高断熱仕様の戸建住宅10軒、室内化学物質汚染に対する特別な配慮がない集合住宅10戸を対象に、居住状態における室内VOCsおよびホルムアルデヒド(HCHO)濃度の実測、北里研究所病院臨床環境医学センター長石川哲博士や北里大学医学部眼科教室宮田幹夫教授らによる上記住宅の居住者に対する健康障碍に関するアンケート調査・問診・Eye Movement等の診察を行い、近年竣工の住宅におけるSHS発症の実態を調査した。その結果、化学物質放散量が少ない建材の選択、換気システムの採用が、室内におけるHCHOやトルエン濃度の低減に効果的であった。集合住宅居住者の数名にSHS症状の兆候が認められたものの、室内化学物質汚染に起因したものであるかは不明であった。 今後も、化学物質濃度の実測に加え、さまざまな年齢層の居住者に対して医学的検査および問診をより詳細に行い、設備的対策手法考案の基礎となるデータベースの強化を図ってゆく予定である。
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[Publications] 小峯裕己 他: "Validation of field measuring strategies for indoor air pollution by formaldehyde(HCHO) in Japanese residences"Indoor Air'99. Vol.4. 414-419 (1999)
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[Publications] 尾上薫 他: "DEVELOPMENT OF CONCENTRATION MEASUREMENT FOR VOLATILE ORGANIC COMPOUNDS(VOC_S)"Proceeding of 5^<th> Japan-Korea Symposium on Separational Technology. 917-920 (1999)