1997 Fiscal Year Annual Research Report
極細束電子線ナノ結晶構造解析法の開発とその応用に関する研究
Project/Area Number |
09450236
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
弘津 禎彦 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (70016525)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
卞 波 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (80283810)
大久保 忠勝 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (00242462)
中田 芳幸 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (40164214)
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Keywords | 高分解能電子顕微鏡 / 極細束電子線 / ナノビーム電子回折 / 電子線構造解析 / ドリフト補正 |
Research Abstract |
本研究では、従来のナノ結晶、ナノ領域構造解析法では非常に困難であった、同一ナノ結晶、異なる方位でのナノビーム電子回折、電子線構造解析が行える「極細束電子線ナノ結晶構造解析法」を開発するための方法として、市販の電顕試料ドリフト補正装置(試料加熱・冷却により生じる像ドリフトの補正装置)の改良により、以下に述べるような原子レベルの試料移動機構を有する「電子顕微鏡試料傾斜ドリフト精密補正装置」の作製を行った。 装置の効率的な開発を行うため、市販されている「電子顕微鏡試料ドリフト補正装置」を購入し、既設の高分解能型電子顕微鏡(200kV,ナノビーム回折可能)装置に組み入れ、X,Yドリフト成分検出・補正機構(当装置保有の機構)に加えて、新たに試料傾斜時に生じるドリフト成分を検出・補正する新しい検出機構・補正処理を導入した。具体的には、傾斜到達点に至るまで、試料傾斜角度を小刻みに変化させつつ、試料傾斜前後のTV画像を画像解析装置により画質の改善を行った後、コンピュータに取り込み、画像間の相関関数から算出されるドリフト量をもとに、投影レンズ電流を制御しドリフト補正を繰り返す。これらの処理により試料傾斜時のドリフト補正が可能になった。 作製した「電子顕微鏡試料傾斜精密ドリフト補正装置」を利用し、ナノ結晶試料を高分解能電顕観察し、同一ナノ結晶領域に注目した試料傾斜(約10度)を用いて行い、上述機構による試料傾斜時のドリフト補正精度の検定を行い、実用的な精度であることを確認した。 今後、本手法を用い、アモルファス軟磁性合金のナノ結晶構造の解析やアモルファス合金中範囲規則構造の精密解析、真空蒸発法などで得られる金属やセラミックスナノ結晶の精密構造解析などを計画している。
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