1997 Fiscal Year Annual Research Report
超高温用モリブデンダイシリサイド材料における加速酸化現象の解明とその抑制
Project/Area Number |
09450263
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
黒川 一哉 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00161779)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂入 正敏 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50280847)
高橋 英明 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70002201)
|
Keywords | モリブデンダイシリサイド / 加速酸化現象 / ペスト / 環境側因子 / 材料側因子 |
Research Abstract |
本研究の目的は、将来の超高温材料として期待されているモリブデンダイシリサイド(MoSi_2)の耐環境性における最大の弱点である加速酸化現象を解明するとともに、その有効な抑制法を明かにすることにある。加速酸化は環境側および材料側の種々の因子が相互に関与した複雑な現象である。本年度は、特に各因子の影響を明かにするための系統的な実験を行った。本年度において得られた主な結果は以下のとおりである。 1.酸化温度の影響:773Kの温度でもっとも激しい加速酸化を示す。このときMoとSiの顕著な同時酸化が起きる。1073K以上の温度では、Siの選択酸化によりSi_2皮膜が形成され、極めて優れた耐酸化性を示す。 2.雰囲気(水蒸気)の影響:空気中に水蒸気が含まれる場合には、低密度MoSi_2で加速酸化が激しく、水蒸気分圧が高いほど短い時間でペスト(材料の粉化)に至る。その場観察からペストは試料のエッジ部で発生するクラックが原因となっていることがわかった。なお、相対密度が95%以上のMoSi_2では水蒸気添加の影響はみられない。 3.MoSi_2組成の影響:MoSi濃度比の増加とともに耐酸化性が低下する傾向が見られたが、その影響は小さい。 4.密度の影響:MoSi_2の密度は加速酸化に特に大きな影響を及ぼし、95%以上の高緻密体にすることによって加速酸化を著しく抑制できる。 以上の結果から、MoSi_2高緻密化と雰囲気からの水蒸気除去により加速酸化をほぼ完全に防止できることが明かとなった。また、加速酸化の抑制に関連して、緻密なMoSi_2-SiC複合材料のその場合成法の開発、MoSi_2へのWSi_2の固溶効果(加速酸化温度域の上昇)などに関する知見も得た。 次年度は、さらに表面欠陥部における局部的なMo-Si同時酸化の原因を明かにするための実験を行う。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] K.Kurokawa: "High Temperature Oxidation of MoSi_2-WSi_2 Solid Solutions" Materials Science Forum. 251-254. 885-890 (1997)
-
[Publications] K.Kurokawa: "In-Situ Synthesis of Fully Dence MoSi_2-SiC Composites by Spark Plasma Sintering" Proceedings of Inter'l Sympo. on Applide Plasma Sci.129-134 (1997)