1998 Fiscal Year Annual Research Report
減圧窒素プラズマによる溶鋼スクラップからの脱銅精錬
Project/Area Number |
09450279
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴木 亮輔 京都大学, エネルギー科学研究科, 助教授 (80179275)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 勝敏 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (10026049)
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Keywords | アークプラズマ / 窒素 / アーク溶解 / 脱銅 / アンモニア / スクラップ / リサイクル / 水素プラズマ |
Research Abstract |
アンモニアガスは純銅の蒸発を促進し、含鋼鉄スクラップでは、減圧アンモニア中で30分の精錬でCu100ppmまで除去できる。これはアンモニアガスの分解による活性化学種の窒素が熱化学的に活性化されて原子状で溶融金属に溶解するためと解釈し,窒素ガスもイオン化されプラズマ状態となれば熱化学的に活性化されると推測した。 今年度は溶鋼以外に溶鉄に対しても、減圧ガス閉じこめ式非消耗型小型アーク溶解装置と連続排気型窒素ガスプラズマ溶解装置の二種を用いて窒素プラズマ脱銅を検討した。排気速度、ガス供給速度、印加電圧を最適化して制御し純窒素減圧プラズマの安定な発生を可能にした。 昨年度までの溶鋼を用いた小型実験に基づき、窒素のプラズマ化に適した高電圧印加型のアルゴンプラズマ・ガウジング機と水冷式中型真空チャンバーとの組み合わせを昨年度来改造し、鉄の溶解と共にプラズマを通した二色温度計による溶鉄温度測定を可能ならしめた。なおこの計測に当たりアルゴンプラズマの放射スペクトルに二色温度計の測定波長が重なり妨害すること、その除去のための適切な温度補正法、等を見いだした。 不活性ガスアークでは1900℃に加熱された溶鉄からの通常の蒸発以外、何ら著しい変化はないが、窒素ガス雰囲気中、あるいはアンモニア雰囲気中では溶鉄の表面から大量の微粉末のスプラッシュが生じた。これらの知見は窒素やアンモニアがアークの中でプラズマ化し、高い化学活性が付与されたと考えざるを得ない。しかしながら、スプラッシュの組成が溶鉄と同濃度であったことから窒素プラズマ、アンモニアプ与ズマのみでは脱銅効果は小さいと言う結果を得た。少量の水素をさらに添加するとアーク温度が上昇し、スプラッシュ以外に銅濃度の高い超微粉が発生し、速度論的に検討した結果、著しい脱銅促進効果が見られた。
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