1997 Fiscal Year Annual Research Report
高分子材料の微視的腐食機構の解明と耐食性複合材料の設計指針の確立に関する研究
Project/Area Number |
09450284
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
津田 健 東京工業大学, 工学部, 教授 (90016585)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保内 昌敏 東京工業大学, 工学部, 助教授 (00186446)
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Keywords | FRP / 腐食 / 複合材料 / 粒子充てん樹脂 / 加水分解 / 耐食FRP |
Research Abstract |
本研究は、特に微視的な見地から高分子材料の腐食劣化機構の解明を目的とするものである。腐食劣化反応の起きていると考えられる腐食層のフロントや複合材科における第2相(強化繊維やフィラー)との界面に着目し、具体的には微視的にどこまでが変色を含めた物理的な変化を受け、どこまで外部環境が拡散侵入し、最終的にどこまでが実際に化学反応を起こしているのかを解明することが鍵となる。そして機構解明により、高耐食性FRPシステムの設計指針を得ることが最終的な目的である。 初年度は、腐食層を形成する樹脂を用いて粒子充てん樹脂の粒子/樹脂界面の腐食挙動を微視的な分析を中心に行い、断面の観察、EDS分析、顕微lR分析に基づく腐食機構の検討を行う予定であったが、充てんした粒子のために予想以上の充てん効果が発現し、表面の腐食した生成物が全て溶液中に溶出してしまった。今回はこのために、微視的にどこまでが変色を含めた物理的な変化を受けたかについては光学顕微鏡とSEMによる観察にょり評価し、どこまで外部環境が拡散侵入したかをSEMに装備されたEDSによる元素分析により評価したが、顕微FT-IRを用いた反応した部分の評価にあたっては腐食層が溶出したためにはっきりした評価が行えなかった。しかしながら、充てんした粒子の周りに環境液が浸入していることや、表面より内側では殆どが化学反応が認められなかったことなどから、接液表面の効果だけを考慮したモデルにより、大略粒子充てん複合材科の腐食に及ぼす充てん効果を明らかにすることができた。今後は、腐食生成物を表面に残すようなタイプの複合材料について検討し、より詳しい腐食フロントの検討を行う予定である。
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