1997 Fiscal Year Annual Research Report
臨界表面張力を利用した廃プラスチックの相互分離に関する基礎的研究
Project/Area Number |
09450382
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松岡 功 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80005264)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野澤 美樹 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (60250718)
田路 和幸 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10175474)
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Keywords | 表面張力 / 接触角 / ポリ塩化ビニル / プラスチック / 湿潤剤 / 界面活性剤 / 吸着 |
Research Abstract |
臨界表面張力を利用したプラスチックの浮沈分離に関する基礎的研究として,プラスチックの濡れ性に及ぼす湿潤剤・界面活性剤の影響を調べた。プラスチックにはポリ塩化ビニル(2,3種の市販ボード及び研究用試薬粉末),湿潤剤にはリグニンスルホン酸ナトリウム,タンニン酸,ポリビニルアルコール(分子量約500),界面活性剤にはポリオキシエチレンドデシルエーテル,各湿潤剤及びエアロゾルOTを用いた。 まず,各湿潤剤及び界面活性剤が溶液の表面張力に及ぼす影響を調べた。リグニンスルホン酸ナトリウムとタンニン酸の場合,溶液の表面張力は蒸留水とほとんど違いはなかった。ポリオキシエチレンドデシルエーテルとエアロゾルOTでは重量濃度と表面張力の関係はほぼ類似していた。ポリビニルアルコールの場合これらの界面活性剤ほどではないが溶液の表面張力を低下させる働きがあった。 次に,異なる種類のポリ塩化ビニル板について,蒸留水及びこれらの湿潤剤溶液に対する濡れ性を調べた。蒸留水に対する濡れ性すなわち親水性は種類により異なることがわかった。これは市販品の製造工程の違いによるものと考えられ,研究成果の実用化の際に考慮すべき問題と思われる。しかし,湿潤剤や界面活性剤を用いた場合,これらのポリ塩化ビニルの濡れ性が受ける影響はほぼ同様に以下のような傾向を示した:リグニンスルホン酸ナトリウムはポリ塩化ビニルの濡れ性には大きな影響を及ぼさない。エアロゾルOT及びポリオキシエチレンドデシルエーテルは,主に溶液の表面張力を低下させることによりポリ塩化ビニル表面の濡れ性を向上させる。一方,タンニン酸は,ポリ塩化ビニル表面表面に強く吸着することにより親水性を向上させる。これらの考察は,溶液の表面張力と,その溶液への固体の濡れの接触角の余弦値の関係を示すプロット(Zismann plot)や,各種湿潤剤や界面活性剤のポリ塩化ビニル粉末への吸着量の測定から導き出された。
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Research Products
(1 results)