1997 Fiscal Year Annual Research Report
海洋動物を起源とする高分子合成阻害物質の開発と作用機作の解析
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09460057
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
池上 晋 広島大学, 生物生産学部, 教授 (80011980)
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Keywords | ヒトデ / 海綿 / アンコリノシド / テトラシン酸 / 胞胚 |
Research Abstract |
海洋生物からは,数多くの新規生理活性物質が見出されている。その多くは,非選択的な細胞毒性物質である。特定の細胞機能のみを選択的に阻害する物質が見出されれば,細胞機能のさらなる解明あるいは有用な薬剤の開発などにつながる可能性がある。我々は,ヒトデの胚発生に対する選択的阻害活性を指標として,西日本近海で採集された500種以上の海綿抽出物について活性物質の探索を行った結果,10種以上の新規化合物を含む多くの生理活性物質を見出した。 イトマキヒトデ受精卵は,8〜9回の卵割を繰り返して256ないし512細胞期に至る。この時点で個々の割球は上皮化し,中空の胞胚を形成する。この胞胚形成の段階で胚発生を選択的に停止させる活性が,徳島県沿岸で採集したAncorina属海綿の抽出物中に見出された。胞胚形成阻害活性を指標にして溶媒分画し,活性の認められたブタノール可溶画分をさらに逆相HPLC等で精製し,活性物質(1)を単離した。この活性物質(1)をancorinoside Aと命名した。ancorinoside A(1)は,(5R)-5-carboxymethyl-3-{22-O-[b-D-glucopyranosyl-(1 →4)-b-D-galactopyranosyluronic acid]-1-hydroxydocosylidene}-1-methyl-2,4-pyrrolidinedioneであることが明らかになった。 Ancorinoside A(1)を,0.4μg/ml以上の濃度で添加して,イトマキヒトデの胚を発生させると,8〜9回の細胞分裂を行って256-512細胞期になるまでは正常に発生が進んだ。しかしながら,それ以上は,胞胚形成を起こすことなく発生が停止した。
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[Publications] S.Ohta, E.Ohta & S.Ikegami: "Ancorinoside A : A novel tetramic acid glycoside from the marine Sponge,Ancorina sp.which Specifically inhibits blastulatim 7 sterlish embryo" Journal of Organic Chemistry. 62 (19). 6452-6453 (1997)