1997 Fiscal Year Annual Research Report
林業労働の参入・退出のコウホ-ト分析ー新規参入者の定着条件と退職要因ー
Project/Area Number |
09460067
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永田 信 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (20164436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立花 敏 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (50282695)
大橋 邦夫 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (40203898)
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Keywords | 森林組合 / コウホ-ト法 / 国勢調査データ / 新規参入者 / 離職者 / 林業就業者 |
Research Abstract |
1 1995年国勢調査の産業別データを用いたコウホ-ト法による分析 1955〜95年の国勢調査の産業別データを用い、コウホ-ト法による林業就業者の推移と現状の把握、および将来推計を行った。この分析により、農林漁業と全産業のコウホ-ト分布の相違、および高度経済成長期における林業就業者の減少の構造を明らかにすることができた。さらに、今後も広範な年齢層で減少が続けば林業就業者は1万2千人と推計された。 2 森林組合を対象とした参入・退出に関するアンケート調査の実施 作業班を持つ全国の森林組合(1187組)を対象に、新規参入者と離職者に関してアンケート調査を実施し、669の組合から回答を得た。その結果、1992年以降新規の参入者は458組合で計3979人おり、そのうち離職者は861人であった。また、92年以前に参入し92年以降に離職した人は、高齢者を中心に1871人であった。さらに詳細な分析を引き続き行っている。 3 森林組合およびそこで働く参入者を対象とした聞き取り調査 下川町森林組合(北海道)、天竜市森林組合(静岡県)、木頭村森林組合(福島県)、安芸市森林組合(高知県)、物部森林組合(高知県)において、林業労働対策に対する森林組合の考え方や定着のための取り組み、および新規参入者に対して、参入の動機、労働条件、実際に働いた感想や地域での生活について聞き取りを行った。上記の森林組合はいづれも社会保険や退職金制度を整備し、積極的に新規参入者を受け入れ、20〜30歳代の若者の雇用に成功していた。しかし、月給制の導入については組合により考え方の違いが見られた。また、新規参入者においても、都市近郊の森林組合に勤める新規参入者と山村の森林組合に勤める新規参入者により、理想とする生活のあり方や地域社会のあり方に違いがあることが示唆された。
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