1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09460086
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮崎 信之 東京大学, 海洋研究所, 教授 (40101464)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田辺 信介 愛媛大学, 農学部, 教授 (60116952)
天野 雅男 東京大学, 海洋研究所, 助手 (50270905)
乙部 弘隆 東京大学, 海洋研究所, 助手 (10169328)
都木 靖彰 東京大学, 海洋研究所, 助手 (10212002)
竹内 一郎 東京大学, 海洋研究所, 助手 (30212020)
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Keywords | 海棲哺乳類 / 生活史 / 生物学的特性値 / 系統群 / 食性 / 有機塩素系化合物 / 有機スズ / 重金属類 |
Research Abstract |
今年度実施した研究内容は以下の4課題に集約できる。 (1) 海棲哺乳類の形態的特徴をもとにした分類学的研究、(2)年齢査定や生殖腺調査の結果をもとにした生物学的特性値の研究、(3)海棲哺乳類の胃内容物を用いた食性の研究、および(4)海棲哺乳類に蓄積している有機塩素系化合物、重金属類、有機スズ化合物、および放射性化学物質による海洋汚染研究。 その研究成果と今後の課題を以下に記す。 (1) カマイルカ属(Lagenorhynchus)6種の外部形態、体色、頭骨形態を比較して、これら6種の類縁関係を明らかにした。同時に、北太平洋に生息しているカマイルカの系統群判別研究を行い、日本近海に日本海系群と北西北太平洋系群の2系統群が存在することを明らかにした。 (2) 宮崎県青島海岸に漂着したカズハゴンドウ119頭の生物学的調査から、本種の性成熟年齢は雄で15歳、雌で11.5歳であり、最大年齢は45.5歳であった。雌は全体の39.5%を占め、性成熟率は87.2%であった。雌の年間排卵数は0.28個で、1繁殖周期は3.5年と推定された。 (3) 北太平洋、日本海、オホーツク海に生息するイシイルカの食性解析から、イルカの捕食戦略を解明した。生息環境により摂餌戦略が異なり、北西北太平洋では夜間から明け方に中深層の魚やイカを捕食するが、オホーツク海では日中に表層性の魚やイカを捕食していることが明らかになった。餌生物の生物量に対応して、主要餌生物種が変化することも明らかになった。 (4) 東アジアに生息するイルカ類の体内に蓄積している有機塩素系化合物や有機スズ化合物の分析結果をもとに、海洋汚染の状況を把握し、今後の対応策を検討した。1998年10-11月には海洋汚染に関する国際シンポジウムを開催し、国内外の研究者と情報交換を行うと同時に、今後の国際共同研究の打ち合わせを行った。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Prudente,M.,et al.: "Organochlorine contamination in some odontoceti species from the North Pacific and Indian Ocean." Marine Environmental Research. 44(4). 415-427 (1997)
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[Publications] Tanabe,S.,et al.: "Persistent organochlorine residues in harbour porpoise(Phocoena phocoena)from the Black Sea." Marine Pollution Bulletin. 34(3). 338-347 (1997)
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[Publications] Tanabe,S.,et al.: "Isomer-specific analysis of polychlorinated biphenyls in harbour porpoise(Phocoena phocoena)from the Black Sea." Marine Pollution Bulletine. 34(9). 712-720 (1997)
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[Publications] Madhusree, B.,et al.: "Contamination by butyltin compounds in harbour porpoise(Phocoena phocoena)from the Black Sea." Fresenius J.Anal.Chem.359. 244-248 (1997)
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[Publications] Miyazaki,N.,et al.: "Preliminary study on comparative skull morphology and vertebral formula among the six species of the genus Lagenorhynchus(Cetacea : Delphinidae)." Mammalia. 61(4). 573-587 (1997)
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[Publications] Miyazaki,N.,et al.: "Comparison of growth and skull morphology of Pacific white-sided dolphin,Lagenorhynchus obliquidens,between the coastal waters of Iki Island and the oceanic waters of the western" Mammalia. 61(4). 561-572 (1997)
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[Publications] 宮崎信之: "地球規模で広がる海洋汚染-海棲哺乳類からのメッセージ海洋環境破壊が深刻化 (p.27-44)" 東京教育情報センター, 272 (1998)