1997 Fiscal Year Annual Research Report
国際比較を通じた大規模農業法人の存立構造に関する研究-船方グループを中心に-
Project/Area Number |
09460099
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷口 信和 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (80163632)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋山 満 宇都宮大学, 農学部, 講師 (10202558)
酒井 富夫 富山大学, 経済学部, 助教授 (20225767)
津田 渉 (財)農村開発企画委員会, 研究員
橋口 卓也 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (40282701)
小田切 徳美 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (10201998)
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Keywords | 日本農業 / 農業法人 / 農業生産法人 / インテグレーション / 農家 |
Research Abstract |
危機に直面する日本農業の新たな担い手として、農業法人への期待が集まっていることから、学界においても、農業法人研究の蓄積が進んでいる。しかし、既存研究の多くでは、法人設立という新たな現象の把握とその制度的問題点の析出に力点が置かれている。そこで、本研究では、基礎的かつ長期的視点からの分析を課題とし、研究の対象として「(有)船方総合農場」を中心とする「船方グループ」を選定した。 「(有)船方総合農場」は、酪農、肉牛肥育、稲作、花卉、果樹、等の多部門をもち、かつ、「船方グループ」の他企業では、加工、販売、消費者交流、等の多面的な事業を展開している。その「船方グループ」における、(1)労働力の結合様式(労働力構造)、(2)生産力水準の到達点(生産力構造)、(3)経営の持続性と発展性(経営構造)、(4)地域住民・地域農業との関連(地域連携構造)、の解明をより具体的な課題として設定した。 本年度は、3ヵ年の研究予定の初年度であったが、前期の4つの課題に照らしてみれば、とりわけ、(3)と(4)についての調査を重点的におこなった。(3)については、「船方グループ」内部の諸資料やヒアリングが調査方法の中心であったが、農業生産法人の「(有)船方総合農場」の経営の維持発展のために、いわば農業生産部門からのインテグレーションが成立していることが明らかにされた。また、(4)については、「(有)船方総合農場」と外部の地域内農家との連携構造を調べるため、「船方協定営農会」参加農家の調査をおこなった。そのことによって、地域における法人経営と個別農家との連携構造の成立過程と到達点、課題を明らかにすることができた。農政における農業基本法見直し作業の中で、株式会社の農地取得問題が焦点となっているが、こうした議論にも一石を投じる調査結果が得られたものと思われる。
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