1998 Fiscal Year Annual Research Report
新鶏摂食調節ホルモンの単離とその中枢作用機構の解明
Project/Area Number |
09460128
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
菅原 邦生 宇都宮大学, 農学部, 教授 (50091947)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加野 浩一郎 神戸大学, 農学部, 助手 (80271039)
古瀬 充宏 九州大学, 農学部, 助教授 (30209176)
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Keywords | グルカゴン様ペプチド-1 / 摂食調節ホルモン / 脳室内投与 / 鶏GLP-1抗体 / 鶏小腸GLP-1 / 脳内微小透析法 / 摂食阻害中枢機構 / 鶏脳GLP-1受容体 |
Research Abstract |
[本年度の研究目的・研究実施計画] 摂食調節ホルモンとしての鶏グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)の中枢作用機構の解明を目的として、平成9年度に引き続き、化学合成された鶏GLP-1を用いて、摂食調節における鶏GLP-1の薬理作用の検討、並びにその生理作用機作の解明を行なう。また、鶏GLP-1に対する単クローン抗体を作製する。そして、作製された単クローン抗体をアフィニティークロマトグラフィーのリガンドに供することにより、鶏小腸からGLP-1の単離・同定すると共に鶏脳におけるその受容体の存在を明らかにする。 [研究によって得られた新たな知見等の成果] 1. 摂食調節における鶏GLP-1の薬理作用の検討 鶏雛を用いて化学合成GLP-1の脳室内への投与実験を行ない、絶食処理時或いはニューロペプチドY投与時におけるGLP-1による飼料摂取量変化を調べ、GLP-1は食欲増進条件下においても極めて強い摂食抑制作用を有すること、GLP-1とニューロペプチドYとの間で相互作用が認められることを明らかにした。また、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン或いはGLP-1の脳内投与による血中コルチコステロン濃度変化を調べ、前者も摂食抑制作用を有すること後者による摂食抑制作用に視床下部・下垂体前葉-副腎皮質系が関与していないことを明らかにした。 2. 鶏GLP-1の摂食調節における生理作用機作の解明 脳内微小透析法を用いて、化学合成GLP-1投与時の鶏雛の視床下部神経諸核における神経伝達関連物質、特にモノアミンをはじめとするアミン類・アミノ酸類・小型分子類の濃度変化を調べることにより、生理的レベルでのGLP1による摂食抑制機構を一部解明した。 3. 鶏GLP-1に対する単クローン抗体の作製、並びに鶏脳におけるGLP-1受容体の存在の確認 鶏グルカゴン前駆体の遺伝子構造から推定されたアミノ酸配列を基に化学合成した鶏GLP-1でBALB/cマウスを免疫し、その脾臓細胞とマウスミエローマ細胞(P3U1)を常法に従って融合して得られたハイブリドーマを用いて、GLP-1に特異的な単クローン抗体を作製した。また、噛乳動物脳のGLP-1受容体cDNAを基にプローブを設計し、鶏脳におけるGLP-1受容体の発現とその遺伝子構造の一部を明らかにした。
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[Publications] M.Furuse,M.Matumoto,R.Mori,K.Sugawara,K.Kano and S.Hasegawa,: "Influence of fasting and neuropeptide Y on the suppressive food intake induced by Intracerebroventricular injection of glucagon-like" Brain Research. 764. 289-292 (1997)
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[Publications] M.Furuse,M.Matumoto,N.Saito,K.Sugawara and S.Hasegawa,: "The central corticotropin-releasing factor and glucagon-like peptide-1 in food intake of the neonatal chick." European Journal of Pharmacology. 339. 211-213 (1997)