1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09460131
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
入谷 明 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (80026385)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 祐史 近畿大学, 生物理工学部, 助手 (20271413)
松代 愛三 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (00029753)
細井 美彦 近畿大学, 生物理工学部, 助教授 (70192739)
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Keywords | ゲノムインプリンティング / トランスジェニック / ホモ型動物個体 |
Research Abstract |
ゲノムインプリンティング(遺伝的刷り込み)遺伝子の一つであるmammalian acheate-scute homologue 2 (Mash2)は、胎盤形成で重要な栄養外胚葉系列の発生に重要な役割を果たす最初の転写因子ではないかと考えられている(Guillmot et al.,Nature 371:333,1994)。そこで、胎児の成長を促進する遺伝子が発現しているが胎盤形成が不完全なため発生途中で胚死する雄性発生胚に、胎盤形成に重要であるMash-2あるいはその近傍のH19を導入して強制発現させることによって、雄性発生胚を個体まで発生させることを目的に研究を進めている。 初年度は、Mash-2遺伝子を導入して強制的にMash-2を発現させたトランスジェニックマウスの作製を試みた。動物組織で構成的発現を誘導することができるニワトリ・b-actinプロモーターとSV40のスプライシング領域およびポリA付加シグナル部位を含むベクターに、マウスMash2cDNAをセンス方向(sense-Mash2遺伝子)とアンチセンス方向(antisense-Mash2遺伝子)に挿入させた導入用遺伝子を構築した。最初に、antisense-Mash2遺伝子をマウス受精卵に導入を試みた所、802個の受精卵に注入操作し、移植後最終的に53匹の産児が得られた。次にSouthern blot解析によって、導入遺伝子の染色体への取り込みを検討した所、全てのマウスにおいて遺伝子の取り込みが確認できなかった。この結果は、内在性遺伝子を100%抑制できないアンチセンスを用いた発現制御系においてもトランスジェニック個体が得られないことを表しており、Mash2遺伝子は胎盤形成時期において重大な役割を果たしていることを示していると考えられた。現在、sense-Mash2遺伝子を導入したトランスジェニックマウスの作製を進めている。
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