核磁気共鳴と免疫組織化学的手法を用いた脳虚血再灌流障害における薬物効果の判定

1997 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 09470327
• Research Institution: Kyoto University
• Principal Investigator: 荒井 俊之 京都大学, 医学研究科, 助教授 (80175950)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 犬伏 俊郎 滋賀医科大学, 分子神経生物学研究センター, 教授 (20213142) ; 森 健次郎 京都大学, 医学研究科, 教授 (20025620)
• Keywords: ラット局所脳虚血 / 核磁気共鳴 / 脳エネルギー代謝 / 乳酸 / 砂ネズミ全脳虚血 / 虚血再潅流障害 / 組織化学染色 / 遅発性神経細胞死

Research Abstract

本年度はラット局所脳虚血モデルを用いた核磁気共鳴による脳エネルギー代謝の評価ならびに砂ネズミ全脳虚血モデルを用いた免疫組織化学的手法による薬物効果の判定を行った。
1.核磁気共鳴による脳エネルギー代謝の評価
実験動物に自発性高血圧ラット(SHR)を用い、ハロセン麻酔下にラットの内頚動脈から中大脳動脈(MCA)にナイロン糸を進めることによりMCAを閉塞した。閉塞後、直ちにラットを核磁気共鳴(NMR)装置内に留置した。この後の操作は、ラットを2群に分け、再灌流群(R群)ではMCA閉塞より2時間後、核磁気共鳴装置の外から遠隔操作にてナイロン糸を抜去し、MCAを再灌流させ、永久梗塞群(P群)では、ナイロン糸を留置したままとした。両群ともNMR装置により乳酸(Lactate)のNMR信号を採取した。信号の採取には1回約1時間を要するので、R群では再灌流前1時間ならびに再灌流後1、2、3、4、5時間と計6回、またP群では再灌流することなく1時間毎に計6回信号を採取した。
その結果、R群では再灌流前1時間後よりLactateが急速に増加するが、P群では閉塞後4、5時間を経てもLactateがあまり増加しないことが分かった。
2.免疫組織化学的手法による薬物効果の判定
砂ネズミの両側頚動脈を脳外科手術用の小クリップで3.5分間血流遮断し、血流再開30分後に種々の薬物を投与した。血流再開1週間後に脳を摘出し、組織標本を作成し、組織化学染色を行った。組織切片の画像解析を行って、脳虚血再潅流障害の典型例とされる遅発性神経細胞死(DND)に対する薬物効果を判定した。
その結果、これまで神経保護作用があると報告されてきたスピントラップ剤PBNはDNDをある程度抑制するが、同じく神経保護作用があると報告されてきたキサンチンオキシダーゼ阻害剤オキシプリノールはDNDを全く抑制しないことが分かった。

Research Products

• [Publications] Mori H, Arai T^*, et al.: "Neuroprotective effects of pterin-6-aldehyde in gerbil global brain ischemia : comparison with those of a-phenyl-N-tert-butyl nitrone." Neurosci Lrtt. (in press). (1998)
• [Publications] Ishii H, Arai T^*, et al.: "Evaluation of focal cerebral ischemia in rats magnetic resonance imaging and immunohistochemical analyses." J Cereb Blood Flow Metab. (in press). (1998)
• [Publications] Arai T^*, Mori H, et al.: "Oxypurinol, a xanthine oxidase inhibitor and a superoxide scavenger, did not attenuate ischemic neuronal damage in gerbils." Life Sci. (in press). (1998)