1998 Fiscal Year Annual Research Report
前立腺特異抗原(PSA)を利用した前立腺癌ターゲティング遺伝子療法
Project/Area Number |
09470352
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
村井 勝 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90101956)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大東 貴志 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80185371)
中島 淳 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (10167546)
朝倉 博孝 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50175840)
橘 政昭 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (70129526)
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Keywords | 前立腺癌 / PSA / 遺伝子治療 / 5-fluorocytosine |
Research Abstract |
平成9年度に我々はcytosine deaminase(CD)遺伝子を用いた前立腺癌suicide gene therapyのモデルを確立した。平成10年度は、前立腺癌に対する選択性を持たせるために、CMVプロモーターの代わりに、前立腺細胞に特異的に発現している前立腺特異抗原(PSA)プロモーターを挿入した。660塩基対よりなるPSAプロモーター領域をpolymerase chain reaction法により増幅し、ベクターにクローニング後、陽荷電リポソーム法でLNCaP(PSA発現)、PC3(PSA非発現前立腺癌株)、T24(膀胱癌細胞株)に導入した。各細胞での発現効率をCAT assayにて検討したところ、LNCaP細胞にのみ発現が見られた。しかしながら、発現効率はCMVプロモーターに比較して悪かった。5-fluorocytosine(5-FC)に対する感受性のin vitroの試験では、LNCaP細胞では他の細胞と比較して、感受性が高かった。これらの細胞をヌードマウスに移植し、腫瘍形成の後に5-FCを腹腔内投与すると、LNCaP細胞のみに軽度の腫瘍縮小効果が認められた。 以上のことから、PSAプロモーターの下流にCD遺伝子を挿入したベクターは、前立腺癌への特異性発現が認められるが、発現効率が悪く5-FCに対する感受性は低かった。今後PSAプロモーターとCMVプロモーターをタンデムに結合させるなどの研究を予定している。また当初の計画と異なるが、腫瘍細胞に特異的増殖を示す変異ヘルペスウィルスをLNCaP細胞に感染させたところ強い抗腫瘍効果が認められた。このウィルスは、HSV-thymidine kinaseを含んでおり、このことからガンシクロビルを用いたsuicidegene therapyの併用の可能性も期待でき、この方面の研究も継続していきたいと考えている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Nakashima j.,Murai M.,et al.: "Association between tumor necrosis factor in serm and cachexia in patients with prostate cancer." Clinical Cancer Research. 4. 1743-1748 (1998)
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[Publications] Ohigashi T.,Ueno M.,et al.: "Suppression of default apoptosis in androgen-dependent cells by testosterone-mediated bcl-2 expression." International Journal of Urology. 6. 147-153 (1999)