1997 Fiscal Year Annual Research Report
分子生物学的手法を用いた生体部分小腸移植におけるグラフト採取部位に関する研究
Project/Area Number |
09470388
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田口 智章 九州大学, 医学部, 講師 (20197247)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梁井 桂子 九州大学, 医学部, 医員
田尻 達郎 九州大学, 医学部, 医員
山田 耕治 九州大学, 医学部, 医員
生野 猛 九州大学, 医学部, 助手 (30235717)
水田 祥代 九州大学, 医学部, 教授 (30038856)
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Keywords | 部分小腸移植 / 小腸移植 / サイトカイン / 拒絶反応 / 空腸 / 回腸 / 分子生物学 |
Research Abstract |
われわれは、部分小腸移植を実施する際に、空腸と回腸のどちらがグラフトとして優れているかについて、研究を推進している。移植後の免疫反応において、抗原提示細胞からシグナル伝達をうけたT細胞からIL-2が産生され、さらに活性化されたマクロファージからTNFやIL-1が産生されて組織破壊や炎症反応を惹起することが知られている。本年度は、ラット部分小腸移植モデルを用いて、サイトカインの血中レベルを測定することにより、移植後早期の免疫反応の強さを空腸グラフトと回腸グラフトで比較検討した。 方法は、ラット小腸移植は手術用顕微鏡下に血管吻合を行った。ラットの組み合わせは、同系移植(コントロール)Lewis(RT1^l)-Lewis(RT1^l)、異系移植WKAM(RT1^u)-Lewis(RT1^l)とし、ドナーの空腸起始部または回腸終末部20cmを動脈はSMA+Aorta、静脈は門脈本幹の血管付グラフトとして採取し、動脈はレシピエントの腎下部大動脈、静脈はレシピエントの下大動脈に端側吻合し、グラフト腸管はThiry-Vella loopとして両端をstomaとした。移植後1・4・7日目にレシピエントから採血を行い、IL-2,TNF-α,IL-1βの血中レベルをELISA法にて測定し、空腸移植群と回腸移植群で比較検討した。 その結果、まだnが少なくて有意差検定はできていないが、空腸群のほうが回腸群よりもIL-2とIL-1βがそれぞれ術後1日目、術後7日目において低値を示しており、空腸の方が免疫反応が軽度である可能性を示唆している。 今後、nを増やして有意差検定するとともに、コントロールとして同系移植によるデータを追加する。またmRNAレベルでの発現を調べる予定である。
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[Publications] Gvo R,Nada O,Suita S,Taguchi T,Masumoto K: "The distribution and co-localization of nitric oxide synthase and vasoactive intestinal polypeptide in nerves of the colons with Hirschsprungs disease" Virchows Arch. 430. 53-61 (1997)
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[Publications] Nakao M, Taguchi T, Yanai K, Yamada T,Suita S: "Energy metabslism during cold is chemia and reperfusion in the rat small intestinal transplantation:comparison of jejunal and ileal grafts" J Pediatr Surg. 32. 1675-1678 (1997)
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[Publications] Suita S,Taguchi T,Kamimura T,Yanai K: "Total colonic aganglionosis with or without small bowel involvement:A changing profile" J Pediatr Surg. 32. 1537-1541 (1997)
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[Publications] 田口智章,中尾真,梁井桂子 Rahman MS,山田耕治,水田祥代: "ラット部分小腸移植における空調および回腸グラフトの比較" 今日の移植. 10. 71-78 (1997)
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[Publications] 田口智章,梁井桂子,中尾真,水田祥代: "冷保存小腸のviability判定法" 低温医学. 23. 5-11 (1997)
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[Publications] 田口智章,山田耕治,梁井桂子,水田祥代: "ラット小腸移植手技-異所性" Organ Biology. 4. 57-63 (1997)