1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09470429
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
桃井 保子 鶴見大学, 歯学部, 講師 (10103558)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤林 久仁子 鶴見大学, 歯学部, 助手 (70196806)
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Keywords | 象牙質 / 酸処理 / 脱灰 / 再石灰化 / 接着性コンポジットレジン / 微小硬さ / 樹脂含浸層 / 表面粗さ |
Research Abstract |
今回、サルによるin vivoの実験が可能となったので、患者を対象にした臨床的な試験に先駆けて予備的実験を行うこととした。修復材料としては、第一に接着性コンポジットレジンを選択した。健康な成熟したサルの歯に5級窩洞を形成し、窩洞のエナメル質と象牙質を37%リン酸で60秒間処理した。このような過度の酸処理により、象牙質のハイドロキシアパタイトは表層下まで除去され、コラーゲンリッチな脱灰層が幅広く生成する。この窩洞を、サリチル酸誘導体のレジンモノマーを塗布した後、接着性コンポジットレジンで充填した。評価の対象は、レジンと歯質との界面の樹脂含浸層、とくにその近傍に存在すると考えられる、樹脂が浸透していない脱灰象牙質である。再石灰化の評価は、おもに超微小押し込み硬さ試験機で硬さを測定することにより評価した。修復後の7日と、長期経過6ヶ月後の硬さ変化で再石灰化の程度を評価した。われわれの仮定は、生活歯では窩洞が接着性修復物で密封され、口腔外環境から遮断されている場合は、歯髄の正常な生理的機構により、樹脂が浸透していない脱灰象牙質は再石灰化しうるというものであった。しかし、結果は、樹脂含浸層またその近傍の脱灰象牙質は、口腔内で長期経過しても再石灰化していないことを示唆するものであった。この結果を詳細に検討するために、今後、当該部位の無機成分の含有量の変化、電子顕微鏡による象牙質微細構造の変化を観察する予定である。なお、超微小押し込み硬さ試験機では、計測する圧痕の寸法が極めて小さいことから、評価の対象となるサンプルの表面粗さは、さらに小さいことが要求された。したがって、サンプルの研摩法を確立することが硬さの評価を行うのに必須の条件であった。今回、この研摩法についても十分に検討し、本試験機の硬さ測定に供し得るサンプルの研摩法が確立できたことも成果であった。
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