1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09470429
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
桃井 保子 鶴見大学, 歯学部, 講師 (10103558)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤林 久仁子 鶴見大学, 歯学部, 助手 (70196806)
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Keywords | 象牙質 / 酸処理 / 脱灰 / 再石灰化 / 接着性コンポジットレジン / 微小硬さ / 樹脂含浸層 / 表面粗さ |
Research Abstract |
レジン樹脂含浸眉近傍の超微少押し込み硬さ試験により、接着性レジンは象牙質と良好に接着していることがわかった。また、健全象牙質から、酸による脱灰象牙質、樹脂含浸層、レジン接着材、コンポジットレジンへと連続的な硬さを測定することで、おのおの物性の違いを推測する事も可能であった。加えて、エナメル質と象牙質の樹脂含浸層付近の微細構造を、電子顕微鏡により観察し、市販の接着性コンポジットレジンシステムには、象牙質・エナメル質の脱灰能力、プライマーの脱灰象牙質への浸透性、レジン接着材の重合性に、差違があることも確認した。リン酸によらず酸性レジンモノマーで象牙質を脱灰する最近のレジンシステムでは、樹脂含浸層の厚みは小さい傾向にあった。含浸層の巾が減少することで、長期接着耐久性の低下を懸念するむきもある。しかし、われわれは、樹脂含浸層が硬さの低い層であることを、超微少押し込み硬さ試験で確認しているため、逆に含浸層の巾が大きいと温度変化の負荷や、長期水中浸漬などでは、層に加水分解が起こり、接着性が低くなるのではないかと考えるにいたった。一方、象牙質をリン酸で処理するシステムでは、樹脂含浸層の巾が、酸性モノマーで脱灰するレジンシステムに比べなり大きかった。しかし、含浸層の中でも健全象牙質に最も近い部分は、脱灰によりアパタイトが消失し、空間を持ったコラーゲンネットワークが生じるが、レジンがそこに浸透していない可能性や、浸透していても十分に重合していない可能性があると考える。今後、この点を明らかにするために、電子顕微鏡による観察や、組成分析、また超微少硬さ試験を続ける予定である。
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