1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09470438
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
石川 邦夫 岡山大学, 歯学部, 助教授 (90202952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 洋二 徳島大学, 歯学部・附属病院, 講師 (20200214)
鈴木 一臣 岡山大学, 歯学部, 教授 (30050058)
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Keywords | アパタイトセメント / アパタイト / 骨置換 / 炭酸アパタイト / 炭酸水素ナトリウム / 破骨細胞 / 機械的性質 / 結晶性 |
Research Abstract |
本研究は、より迅速に骨と置換するアパタイトセメントの開発を目的としたものである。本年度は炭酸アパタイトを形成するアパタイトセメントに関して検討を行った。具体的には炭酸水素ナトリウムの添加がアパタイトセメント及ぼす影響を検討した。CHNコーダーを用いてアパタイトセメントに導入された炭酸基量を分析すると、添加された全量の炭酸基がアパタイトセメントに導入されているわけではないが、炭酸水素ナトリウムの添加に伴い、形成されるアパタイトセメント中の炭酸基量が増大することがわかった。 アパタイトセメント硬化体を粉末X線回折装置および赤外分光光度計にて分析した結果、アパタイトセメント硬化体はアパタイトに変換しており、アパタイトのリン酸基カラムを炭酸基が置換していることがわかった。すなわち、ヒトの骨アパタイトと同様のBタイプ炭酸アパタイトが形成されていることがわかった。 アパタイトセメント硬化体の機械的強さを間接引張強さを指標として検討したところ、炭酸基の添加に伴い、硬化体の機械的強さが低下するこがわかった。粉末X線回折の半値幅法および赤外吸収スペクトルのスプリッティングファクター法から形成されるアパタイトの結晶性が低下していることが明らかになったためアパタイトの結晶性の低下がアパタイトセメント硬化体の機械的強さ低下の原因と推察された。 炭酸アパタイトセメントの破骨細胞による吸収を検討するためセメント硬化体に家兎から採取した破骨細胞を播種、48時間培養し、セメント硬化体表面に付着した破骨細胞数、セメント硬化体表面に観測された吸収窩数および吸収窩面積を測定した。6%以上の炭酸水素ナトリウムをアパタイトセメントに添加した場合は破骨細胞の付着数が炭酸水素ナトリウムを添加していないアパタイトセメント(対照群)に比較して減少した。そのためか、6%以上の炭酸水素ナトリウムをアパタイトセメントに添加した場合はセメント硬化体上に形成された破骨細胞性の吸収窩数、吸収窩面積ともに対照群と比較して小さい値であった。一方、2,4%の炭酸水素ナトリウムをアパタイトセメントに添加した場合には硬化体表面に形成された破骨細胞性の吸収窩数、吸収窩面積ともに対照群と比較して大きい値であり、炭酸アパタイトの形成は骨置換に有利に作用すると結論した。
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