1997 Fiscal Year Annual Research Report
生体内化学環境の電気化学的イメージ化を指向する生体適合性分子修飾電極の開発
Project/Area Number |
09470494
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大森 秀信 大阪大学, 薬学部, 教授 (90028845)
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Keywords | 修飾電極 / 生体適合性 / 蛋白質吸着 / HPLC分析 / 生体成分 / 電気化学分析 / グラッシーカーボン電極 |
Research Abstract |
研究代表者らが開発した陽極酸化処理法を用いて、生体適合性分子であるHO(CH_2CH_2O)_nR^1(n=1〜4,R^1=H,Me)により表面修飾したグラッシーカーボン(GC)電極を作製するとともに、それらの修飾電極を用いて生体内化学環境の電気化学的イメージ化を試み、以下の知見を得た。 1.HO(CH_2CH_2O)_nR^1(n=1〜4,R^1=H,Me)により修飾したGC電極の表面特性を、水をプローブとする接触角の測定により評価したところ、nが大きくなるにつれ、修飾電極表面はより親水性になった。更に、それらの修飾電極表面への牛血清アルブミン(BSA)の吸着挙動を電気化学的ならびに放射化学的手法を用いて検討したところ、より親水性の表面を持つ修飾電極がBSA吸着に対して優れた抵抗性を示すことを見い出した。また、表面の生体適合性だけでなく電気化学的特性の比較検討から、HO(CH_2CH_2O)_3Hにより修飾した電極が、最も生体内化学環境の電気化学的イメージ化への適用性を有することを明らかにした。実際、この修飾電極を作用極とする電気化学的検出器を用いるHPLCは、除蛋白質等の繁雑な前処理をすることなく、尿や血清等の蛋白質含有試料の高感度分析法として利用できた。 2.支持電解質としてCH_3CH_2SO_3NaまたはHOCH_2CH_2SO_3Naを含むHO(CH_2CH_2O)_3H中陽極酸化処理することにより作製した修飾GC電極は、カチオン性化合物に対して高選択能を有することを見い出した。すなわち、この修飾電極において、ドーパミン、エピネフリン等のカチオン性体内成分は電気化学的応答を示すが、アスコルビン酸、ドーパック等のアニオン性体内成分の電極反応は著しく抑制されることを明らかにした。現在、これらの興味深い挙動の起源として考えている電極表面に導入されたカルボキシル基を利用する化学修飾電極の作製を検討するとともに、その生体成分分析への応用を試みている。
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Research Products
(1 results)