1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09480094
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
成田 正邦 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00001313)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤村 貞史 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70002011)
藤田 文行 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10002312)
澤村 晃子 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30001316)
秋本 正 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10001314)
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Keywords | パラメトリックX線 / 硬X線 / 相対論的速度の荷電粒子 / Si単結晶 / ブラッグ条件 / 単色X線 / 可変エネルギーX線 |
Research Abstract |
結晶に相対論的速度の荷電粒子を入射すると、ブラッグ条件を満たす負度方向に回折X線(パラメトリックX線、PXR)が発生する。本研究では北大45MeV電子線型加速器によりPXRを発生し、良質で単色の硬X線場の作成を目的とする。今年度は試料に530μm厚のSi単結晶を用いて実験を行い、次の3点を主に検討した。 1.以下によりPXRの発生を確認する。入射ビームと結晶面の角度を変えることにより、発生するX線の波長が連続的に変化し、PXR独特のブラッグ条件を満たす角度で発生確率がゼロとなる谷を持つダブルピークの光子スペクトルを観測する。2.電子ビーム電流、電子エネルギーとPXR放射量の関係を求める。3.良好なPXR場の作成の障害となる制動放射X線の分離と低減法の検討をする。 1.20〜30keVにわたって、それぞれの角度で、単色性の良いX線が得られた。またブラッグ角の近辺で強度が最大となった。これによりPXRの発生が確認された。しかしダブルピークは観測されていない。これは試料の厚さの影響が大きいと考え、現在100〜1000μm厚のSi単結晶試料を作成中である。2.電流量に比例して、PXRの強度が大きくなることが確認された。しかし、制動X線との分離の問題は電流量が増大するにつれて、極端に難しくなるので、現状では4nA程度での実験が最良であることがわかった。また電子エネルギーとPXRの発生量の関係は、電子エネルギーが数10MeVのオーダーではエネルギーに比例して大きくなるというPseudo-Photon法による解析結果と、実験は一致した。3.制動X線の低減については、今回作製した検出器遮蔽体の使用により、これまでより30%以上改善が見られた。また良好なジオメトリーの実験が可能になった。 本研究により、良好なPXR場の作成とその利用に関する基礎的なデータが得られた。
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