1999 Fiscal Year Annual Research Report
液相法による層間化合物の合成と多孔性フィルターへの担持
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09555277
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉川 信一 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (10127219)
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Keywords | 機能性セラミックス / 液相合成 / 凍結乾燥 / 微小重力 / 均一混合 / 均一核発生 |
Research Abstract |
層間化合物を始めとする積層型の無機物質は、原料酸化物および炭酸塩などの固相反応によって合成されてきた。しかし固相反応は原料粉間における相互拡散が反応を律速するために、合成には高温高圧や長い反応時間を必要とする。液相中では原料の相互拡散は速く、均一に混合した状態が得られ易い。また担体との反応も起こり難く、担持などの形態付与も容易である。昨年度までにハイドロタルサイトや層状チタン酸ゲルを多孔質アルミナ管の細孔中に担持し、これらの層間化合物の機能性を有効に引き出すことができた。さらに溶液中における均一な混合状態をクエン酸などのゲル化剤を添加して保持したまま低温焼成すると、積層周期が長く準安定な層状化合物を新たに得られる事も見出した。本年度にはゲル化剤を添加する代わりに、微小重力場中において金属塩化物または硝酸塩の混合水溶液を凍結することによっても、均一混合状態を保ったままで酸化物に転換できる可能性を検討した。A1_2O_3やY_2O_3をドープしたZrO_2を得ることを目指してZrOCl_2・8H_2O+AlCl_3・6H_2OおよびZrOCl_2・8H_2O・+YCl_3・6H_2O混合水溶液を、各1mlずつアルミニウムパックに詰めて、熱電素子に挟みこんで冷却凍結した。通電開始したのち数十秒後に約-20℃付近まで冷却して凝固熱を発生しながら凍結する。凍結した試料を凍結乾燥機にて乾燥したのちに、粉末X線回折およびSEM観察を行った。さらに示差熱分析装置中にて加熱して酸化物に転換した。その結果、凝固の直前に5秒間の微小重力条件を経験すると、析出したZrOCl_2・8H_2O、AlCl_3・6H_2O、YCl_3・6H_2Oなどの混合が均一になるだけではなく、核発生が抑制されるためか結晶性がミ向上することが明らかになった。その他に透明導電性をもつ(ZnO)_mIn_2O_3、Bi_4Ti_3O_<12>強誘電体、スピノーダル分解するTiO_2-SnO_2固溶体、Na-β-Al_2O_3についても同様の検討を行い、凝固点が低すぎず、吸湿性が低く乾燥が容易で、水溶液が加水分解せずに安定な実験系については、いずれの場合も類似した実験結果の得られることが明らかになった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 吉川信一: "ハイドロタルサイト担持フィルターによるCO_2の可逆分散"粉体および粉末冶金. 46. 300-304 (1999)
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[Publications] 吉川信一: "均一液相ほうによるZnO-In_2O_3系透明導電物質の低温合成"粉体および粉末冶金. 46. 189-193 (1999)
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[Publications] 吉川信一: "層状無機物質による新機能性"化学工業. 50. 514-517 (1999)