1999 Fiscal Year Annual Research Report
ポストCCAとしてのキトサン金属塩系木材防腐剤の実用化
Project/Area Number |
09556038
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
古川 郁夫 鳥取大学, 農学部, 教授 (50032313)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 智紀 (株)コシイプレザービング, SEグループ, 主席研究員
|
Keywords | キトサン金属塩 / 毒性予備試験 / 長期屋外試験 / 杭試験(アカマツ杭) / 選択的吸収 / 放射組織 |
Research Abstract |
(1)キトサン金属塩(CCS)の毒性試験を実施する予定であったが、試験経費が高価で、配分経費内で実施することは困難と判断し、本年度は本学部獣医学科解剖学研究室の協力を得て、可能な範囲の予備実験を行った。予備実験では、ラットによる経口急性毒性試験のみを行った。空腹時のラットの胃内に1%のメチルセルロース溶液で分散したCCSペーストを直接投与した。投与濃度レベルは1000ppm、1500ppm、3000ppmの3レベル、各レベルに2〜3匹、3000ppmレベルのみ11匹を試験した。投与後、いずれの濃度レベルにおいても、1匹を除いた全てのラットにおいて、2〜3週間の観察期間内では、異常は全く観察されなかった。なお、1匹のみ投与後3日目で死亡した。剖検検査の結果、投与時に咽頭に傷をつけ、これが原因で窒息死したようであった。胃内や腸内に投与薬剤が残存していたが、肝臓、肺、腎臓は正常であった。 (2)キトサン金属塩(CCS)を0.67〜1.18kg/m3の濃度レベルで注入処理したアカマツ辺材杭を、鹿児島県吹上浜国有林内のシロアリ生息域に6年間埋設した。埋設後3年目までは、いずれの杭においても腐朽及びシロアリの被害は全く検出されなかった。4年目には0.67kg/m3レベルの杭で軽微な腐朽が観察されたが、シロアリ被害はゼロであった。5年目では、1.18kg/m3レベル以外の全ての杭で軽微な腐朽が認められたが、シロアリ被害は皆無であった。6年目の0.67kg/m3レベルの坑内をSEM-WDXAで調べたところ、杭表面から約数mm深さまでの分野壁孔膜が消失していたが、仮道管壁は表面から深さ1mm以内で微細な裂けや壁孔縁の割れが観察されたが、それ以外では全く観察されなかった。6年目の1.18kg/m3レベルの杭では表面から1mm深さのところでさえ、壁孔膜は健全であった。また、銅元素は杭試験体の表面(0.5mm深さ以内)と放射組織中のみから検出された。とくに放射組織中の銅元素は、杭の中央部にまで存在していたが、仮道管内からは検出されなかった。薬剤成分が放射組織に選択的に浸透、吸着されたことが、シロアリや腐朽菌類に対して長時間の耐朽性を付与したのであろう。
|