1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09556070
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
磯貝 明 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (40191879)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鮫島 正浩 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (30162530)
空閑 重則 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (60012051)
尾鍋 史彦 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (40012025)
|
Keywords | デンプン / 紙 / セルロース / 填料 / 紡糸 / 生物分解性 / 添加剤 / 繊維 |
Research Abstract |
1.各種のデンプンを水に加熱可溶化させ、約10%濃度のデンプン溶液にし、次に約60℃の状態からノズル経0.2mmの丸形あるいは三角形の押し出し装置から、40%濃度の硫酸アンモニム水溶液に押し出し成形すると、繊維形状を有するデンプン繊維を調製することができた。その際に用いるデンプンとしては、アミロース、アミロペクチンの比率からトウモロコシデンプンが最適であることが明らかになった。 2.得られたデンプン繊維の熱、弱アルカリ条件下での形状安定性向上を目的として、各種の架橋剤を検討したが、デンプンに対して5%添加量以下では、十分な形状安定性を付与することができなかった。多量の架橋剤を添加した場合には繊維化することができなくなってしまった。デンプンの架橋剤による安定化には、条件を含めて再検討を要する。 3.一方、デンプン繊維調製の際に、デンプン水溶液に炭酸カルシウム粉体、二酸化チタン粉体等を混入することにより、安定した繊維化が可能になった。更に、これらの無機粉体複合デンプン繊維を用いることにより、デンプン繊維のみを添加することによる紙の不透明性の低下をある程度制御することができた。 4.セルロースとデンプンをザンテート溶液という共通溶剤に溶解させ、紡糸して調製したセルロース-デンプン複合繊維は、表面にセルロース成分が存在し、内側にデンプン成分が分布する構造を有するため、デンプンの熱溶融性、繊維間結合形成機能は現れなかった。そこで、この複合繊維を水存在下で機械的に磨砕処理する叩解処理により、デンプン成分の露出・特性発現を期待したが、期待される特性は発現できなかった。今後、デンプン成分の分布状態を制御する複合繊維化技術の検討を要する。
|
-
[Publications] Yoshizawa,J., Isogai,A.: "Analysis and retention of cationic and amphoteric starches on handsheets"Journal of Pulp and Paper Science. 24(7). 213-218 (1998)
-
[Publications] 磯貝 明: "デンプンの繊維化とその応用"高分子. 47(6). 403 (1998)
-
[Publications] 磯貝 明: "多糖類の構造と機能"四国工研会報. 49. 16-23 (1998)
-
[Publications] 磯貝 明: "パルプ中のセルロース非晶領域の構造変化とシート物性"紙パルプの技術. 48(3). 17-23 (1998)
-
[Publications] 磯貝 明: "新しい原料による繊維の創製"Polyfile. 34(6). 45-47 (1997)
-
[Publications] 磯貝 明: "各種ウェットエンド添加剤を用いて調製したデンプンパルプ含有紙の特性"繊維学会誌. 53(10). 438-445 (1997)
-
[Publications] 磯貝 明: "印刷・情報記録における"紙"の特性と印刷適性および分析、評価"技術情報協会. 26 (1999)