1998 Fiscal Year Annual Research Report
超薄型人工血管を用いた完全経皮的血管内手術法の基礎的および臨床的研究
Project/Area Number |
09557107
|
Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
小塚 裕 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (10126055)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 博之 宇部興産, 高分子研究所, 主席研究員
小野 稔 東京大学, 医学部・付属病院, 助手 (40270871)
江連 雅彦 東京大学, 医学部・付属病院, 助手 (20282642)
|
Keywords | 血管内手術 / ステントグラフト / 超薄型人工血管 / 経カテーテル的ステントグラフト / 大動脈瘤 / 胸部大動脈瘤 / 人工血管の壁厚 |
Research Abstract |
【目的】末梢血管アプローチによる血管内手術(ステントグラフト)を可能にするため超薄型人工血管の開発および研究を行った。 【方法】1)超薄型人工血管の開発:50デニールのポリエステル糸を用い、厚さ40〜120μmの超薄型人工血管を作成した。2)超薄型人工血管の物理的特性を検討した。3)雑種成犬上1頭を用い、胸部大動脈瘤モデルを作成した.壁厚75μmの人工血管を用いたを外腸骨動脈経由でステントグラフトを胸部下行大動脈内に留置した.1ヵ月後と6カ月後に犠牲死させ,組織学的検討を行った. 【結果】1)壁厚40〜117μmの超薄型人工血管の作製が可能であり、75μmのものでは17Fr.のシースを用いることが可能であった。これによりほとんど全ての症例において末梢動脈アプローチによる血管内手術が可能となった。2)超薄型人工血管の物理的性質は以下の如くであった。(1)50μm以下では目ズレが発生し、人工血管の均一性が保てなかった。(2)壁厚75μm,65μmのもの引っ張り強度はそれぞれ13.1Kg,9.5Kgであった。(3)上記グラフトのの有孔度(水透過度)はそれぞ380,1700ml/min/cm^2であった。3)1ヵ月後と6カ月後ともにステントグラフト留置部の開存は良好で、内面には新生血管内皮が認められた。ステントグラフトを留置しなかったパッチ縫着部は瘤化を認めたが、ステントグラフト留置部分では瘤化を認めなかった。 【結語】1)壁厚40〜117μmの超薄型人工血管を開発した。壁厚50μm以下のものでは目ズレが生じ、人工血管の均一性が保てなかったが、壁厚65μm以上の超薄型人工血管はその物理的性質上、臨床応用に十分耐えうるものと考えられた。2)動物実験においても超薄型人工血管を用いたステントグラフトの有効性が示された.
|
Research Products
(8 results)
-
[Publications] Ezure,M.,Kotsuka,Y et al: "Repair of ruptured anastomotic aneurysm -Elephant trunk technique after endovascular stent grafting." Ann Thorac Surg. 65. 241-243 (1998)
-
[Publications] 小塚 裕、ほか: "高吸水性ポリマーを用いた血管内手術用自己膨潤型人口血管の開発:血管内リーク防止を目的として" 脈管学. (in press).
-
[Publications] 小塚 裕,ほか: "血管内手術(ステントグラフト)のための超薄型人工血管の開発" 日胸外会誌. 46. 1392 (1997)
-
[Publications] 江連雅彦,小塚 裕,他: "超薄型人工血管を用いたstent graftの実験的検討" 日胸外会誌. 45. 1392 (1997)
-
[Publications] 江連雅彦,小塚 裕,稲葉博隆 他: "超薄型人工血管を用いたstent graftの胸部大動脈における内挿術の実験的検討" 日外会誌. 99. 458 (1998)
-
[Publications] Y.Kotsuka,et al.: "Newly Developed Auto-awelling Vascular Grafts for Endovascular Repair." 18th Annual congress,International Union of Angiology.32(abstract) (1998)
-
[Publications] 小塚 裕,高本眞一: "血管疾患のインターベンション 心臓病診療プラクティス 18インターベンションを活かす(土師一夫編)" 文光堂, 278 (1998)
-
[Publications] 小塚 裕,高本眞一: "大動脈解離.外来診療のすべて.第3章 主要疾患のプライマリケア." メジカルビュー社, 909 (1999)