1999 Fiscal Year Annual Research Report
顎炎治療に用いる簡易ドラッグデリバリーシステムの開発
Project/Area Number |
09557168
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松本 憲 大阪大学, 歯学部, 助教授 (20127301)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 かおり 大阪大学, 歯学部・附属病院, 医員
生澤 操 大阪大学, 歯学部・附属病院, 医員
中澤 光博 大阪大学, 歯学部・附属病院, 講師 (70217701)
松山 博道 大阪大学, 歯学部・附属病院, 医員
|
Keywords | 下顎骨骨髄炎 / ドラッグデリバリーシステム / ハイドロキシアパタイトブロック |
Research Abstract |
前年度までの研究で、ハイドロキシアパタイトブロック(以下HAB)を担体とする下顎骨骨髄炎治療に用いるドラッグデリバリーシステムにおいて、薬物の封入方法では中央に穴のあいたHABに粉末状の薬物を封入する方法が最も臨床応用しやすく、安定した薬物の徐放効果が得られることがわかった。そこで、下顎骨に適合した形態と大きさのHABの設計と試作を行った。整形外科領域での既存のHABは、長幹骨の治療目的に開発されているため、下顎骨に応用するには大きさや形態が不適当である。そこで、下顎骨骨髄炎の通常の術式として採用される下顎骨頬側皮質骨除去術のあとに生じる死腔に適合する形のHABを試作した。最も豊隆している部分にあらかじめ径4mmの円筒状の穴をあけ、そのなかに粉末状の抗菌剤を封入できるようにした。咬合時に力のかかる部位ではないがある程度の負荷にたえうる構造にした。従来用いてきたポリメチルメタクリレートを担体とするドラッグデリバリーシステムと比較するため、使用薬剤をゲンタマイシンに統一して、薬物徐放性を比較するための溶出試験を行った。その結果、従来のものと同様の薬物徐放性を有することがわかった。また、従来のポリメチルメタクリレートを担体とするドラッグデリバリーシステムでは製造時の重合熱に対する薬物の安定性の面から、使用可能な抗菌剤はアミノグリコシドあるいはバンコマイシンに限定されていたが、HABを用いるシステムでは口腔感染症の常在菌に広く感受性を有するセフェム系やペニシリン系の抗菌剤も使用できる。難治性の下顎骨骨髄炎の治療にきわめて有用であることが考えられた。ヒトに近い形態や大きさの下顎骨を有する山羊成獣に試作品の埋入を行ったが、術後の感染や異物反応をきたすことなく、良好に経過している。今後は動物の感染モデルを作製し、実際の効果について検討を行いたい。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 植草康浩、松本憲 他: "Congenital submental salivary fistula -letter to the editor-"Int. J.Oral Maxillofac Surg. 28. 400 (1999)
-
[Publications] Y.Atsumi, K.Matsumoto et al.: "Altered distribution of Svhwann cells in the periodontal ligament of the rat incisor following resection of the inferior alveolar nerve : an immunohistochemical study on S-100 proteins"Brain Research. 849. 187-195 (1999)
-
[Publications] T.Kanesaki et al.: "Morphine prevents peroxynitrite-induced death of human neuroblastoma SH-SY5Y **s through a direct scavenging action"Eur J Pharmacol. 372. 319-324 (1999)
-
[Publications] Y.Haeuchi, K. Matsumoto. et al.: "Immunohistochemical Demonstration of Neuropeptides in the Articular Disk of the Human Temporomandibular Joint"Cells Tissues Organs. 164. 205-211 (1999)
-
[Publications] 山田朋弘、森悦秀 他: "外鼻形態の3次元的計測による外鼻形成術前後の評価"日口外誌. 45(7). 427-434 (1999)
-
[Publications] Atsumi, Matsumoto,Ikuzawa,et al.: "5th Mediterranean Congress of Oral and Maxillofacial Surgery"Monduzzi Editore, Bologna. 5 (1999)