Research Abstract |
本研究の目的は,大気大循環モデルGCMと対をなすべきグローバル大気環境変動モデル(化学物質の3次元輸送・反応・沈着モデル)を確立することにある。特に温室効果気体に較べて,モデルの不確定性のはるかに大きいエアロゾルについて,精緻なモデルの構築を目指す。 「数値モデル」 これまでに「化学物質の輸送・反応・沈着モデル」を構築してきた。これは150以上の反応(気相,液相,固相,表面反応)を含み,気相と6種のhidrometeors(雲粒,氷晶,雨,雪,雹,霰)間の物質移動,二次粒子生成を含むもので,メゾ・リージョナル規模の光化学オゾン,酸性雨,酸性雪の数値研究に用いてきた。これとは別に,グローバルの輸送・核酸モデルとして,球座標系のスペクトルモデルを開発してきた。本年度は,エアロゾル無機揮発性成分についての,ガス-エアロゾル平衡モデルを構築して多成分系の気液固平衡関係を検討し,大気汚染長距離輸送時の硝酸,塩酸,アンモニアおよび水分の挙動を説明することに成功した。さらに,これらのモデルにエアロゾルの「ソーズ・シンク」,「反応」,「放射フォーシング」の精緻化されたサブモデルを組み込み,グローバル3次元の数値モデルを構築した。本年度はさらに,黄砂について,その飛散機構の精緻なモデル化を行い,長距離輸送中の拡散,化学反応,沈着過程をグローバル3次元の数値モデルを用いて追跡し,酸性雨の中和作用を含めて,東アジアでの大気質に及ぼす影響を明らかにした。 「高速演算手法」 パラレルプロセッシングと分散処理のソフト面の開発を行うとともに,本数値モデルのプログラムの並列計算のための書き換えを行った。この種の数値モデルでは,輸送,沈着過程に較べて反応過程に数10倍の計算時間を要するため,パラレルブロセッシングは高速演算に特に有効である。
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