1997 Fiscal Year Annual Research Report
溶剤紡糸レ-ヨンの溶剤加工による物性変化と実用化へのアプローチ
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09559016
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Research Institution | Niigata Women's College |
Principal Investigator |
佐々木 博昭 県立新潟女子短期大学, 生活科学科, 教授 (20123218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠原 勝次 新潟県, 工業技術総合研究所, 研究員
森川 英明 信州大学, 繊維学部, 講師 (10230103)
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Keywords | 溶剤紡糸レ-ヨン / セルロース溶剤 / 減量加工 / 溶剤処理 / 構造と染色性 |
Research Abstract |
溶剤紡糸レ-ヨンは、地球環境に対し優位性を持つ繊維として、また独特な肌触りを有する繊維であるため、21世紀の中心となる繊維として注目されている。しかし繊維加工や染色は多くの問題点を有しながら、技術的にも、学術的にもほとんど未解決である。溶剤紡糸レ-ヨンは、水に濡れると細かく毛羽立ち(分繊化)、そのため酵素(セルラーゼ)により分解除去する方法がとられている。この技術では長時間でコスト高の酵素処理と製品の白化現象はさけられない。これを解決するため、セルロース溶剤である酒石酸鉄(III)ナトリウム塩(EWNN)により処理することで毛羽を除去する技術を開発した。本研究の最終目的は、基礎的データの積上げによる、実用化の知見を得ることにある。本年度は、まずEWNNで処理し5.8%(S-1)および10.3%(S-2)減量した試料について、直接染料による平衡染色、R.H.100%での水の収着量を測定した。平衡染着量は、未処理>S-2>S-1の順であった。この順序は水の収着量の結果とも一致した。これらの試料のX線解析の結果、未処理と溶剤処理では明らかに異なるパターンを示し、溶剤処理による微結晶の成長が認められた。また、S-1とS-2の順序が逆転しているのは配向の違いであることも分かった。ついで、ラテラルオーダーを測定した結果、未処理に比べ溶剤処理することで分子の凝集状態が強くなったことも確認された。
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