1998 Fiscal Year Annual Research Report
溶剤紡糸レーヨンの溶剤加工による物性変化と実用化へのアプローチ
Project/Area Number |
09559016
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Research Institution | Niigata Women's College |
Principal Investigator |
佐々木 博昭 県立新潟女子短期大学, 生活科学科, 教授 (20123218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠原 勝次 新潟県工業技術総合研究所, 研究員
呑海 信雄 県立新潟女子短期大学, 生活科学科, 教授 (90237181)
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Keywords | 溶剤紡糸レーヨン / フィブリル化 / 減量加工 / セルロース溶剤 / 膨潤 / 逆相クロマトグラフィー / 結晶化指数 / 強伸度 |
Research Abstract |
溶剤紡糸レーヨンは、湿潤時機械的作用により、フィブリル化を起こす。フイブリル化防止のため、溶剤紡糸レーヨンを酒石酸鉄(III)ナトリウム錯体で処理した。昨年度の成果は、処理された繊維の微結晶が成長し、微細構造が変化することであった。本年度は、まず微細構造変化に伴う繊維の水による膨潤挙動を検討した。水で膨潤した繊維および糸の太さを測定した結果、未処理よりも溶剤処理した場合、膨潤度が大きいことがわかった。この原因を追求するため逆相クロマトグラフイーにより検討した。分子量の異なるポリエチレングリコールをプローブとして、溶出時間を測定し、溶出量と分子量の関係から未処理および溶剤処理繊維の膨潤時の内部構造を比較したが大きな差は認められなかった。そこで、膨潤した繊維を塩化鉄溶液で処理し、水酸化鉄コロイドを生成させ、SEMにより観察した結果繊維表面に筋状痕がみられた。このことから、湿潤時繊維表面に孔が存在すると推定され、未処理と溶剤処理繊維の膨潤挙動に差が生じたと考えられた。 次に、錯体の組成、処理温度、時間を変えて、重量減少率、結晶化指数、強度および伸度を測定した。処理温度、水酸化ナトリウム、鉄イオンの濃度の増大につれて重量減少率も増大し、30℃で処理した時重量減少率が最少であることがわかった。処理時間が長くなると結晶化指数は増加し、処理温度が上昇すると減少することがわかった。水酸化ナトリウムおよび鉄イオン濃度が大きくなるにしたがって強度は低下し、実験条件の範囲内で、伸度は最大値が存在することがわかった。
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