仏教看護学の体系化に関する研究

1997 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 09610029
• Research Category: Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
• Research Institution: Iida Women's Junior College
• Principal Investigator: 田宮 仁 飯田女子短期大学, 看護学科, 教授 (60155257)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): CARL Becker 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (60243078) ; 吉元 信行 大谷大学, 文学部, 教授 (50103122) ; 大井 玄 国立環境研究所, 副所長 (70114410) ; 藤腹 明子 飯田女子短期大学, 看護学科, 教授 (90105057)
• Keywords: 仏教看護 / 仏教と医療 / ビハ-ラ / 科学的看護論 / 看護教育 / 看護の心

Research Abstract

1.本年度の研究目的(申請書)に照らして
現在の日本における看護の臨床や教育の場にあっては、その基盤となる看護理論の多くが、欧米で開拓された所謂科学的看護論である。本研究では現代看護が志向する患者側に立った全人的看護論の一つとして、しかも今後の日本やアジアでの活用を意図した、仏教の知恵や方法論を生かした仏教看護学の開拓とその体系化を目的としてスタートしたわけである。なお、具体的目標として、医療や福祉施設の現場での必要に応えるべく、さらには看護教育における基礎看護学の一環として、もしくは仏教看護学なる科目設定を睨んでのカリキュラムとテキスト作成への手掛かりを得ることを目的としたが、各分担者と研究例会を重ねる程に、先行研究「仏教とターミナルケアに関する研究」(課題番号61510013,63450004,03451006)での検索・収集資料以外に、膨大な資料検索(主に仏典関係)が不可避となり、基礎作業に終始し、本年度は当初の目的の達成には至らず次年度の課題とせざるをえないこととなった。
2.本年度の研究実施計画(申請書)に照らして
(1)先ず計画通り各研究分担者の研究をより効率的に進めるために、大学院生等の研究協力者を選定・委嘱し資料検索・収集・整理を依頼し基礎的作業を開始した。
(2)分担者全員の参加による研究例会を、分担者の関係施設を利用して4回(H9.8/4〜5於・新潟県長岡市、9/21〜22於・つくば国立環境研究所、12/3〜4於・京都大谷大学、H10.3/19〜20於・飯田女子短期大学蓼科研修寮)開催し、その内容は全て録音の後テープ起こしを行い、内容の確認と研究成果に結び付つける資料として活用した。各分担者はそれぞれ多忙の中、可能な限りの研究例会には参加し、それぞれの研究成果や疑問点を示しながら夜を徹しての研究会を持つことができた。また、研究協力を委嘱した各位も併せて参加し基礎作業の進展に貢献してくれた。

Research Products

• [Publications] Ohi Gen 他: "Preventive Behaviors againstHIV Transmission Adopted by Japanese Commercial Sex Workers(CSWs)" Environ Health Prevent Med. 2. 132-134 (1997)
• [Publications] Ohi Gen 他: "Organization and patient'sperception of palliative care:a crosscultural comparison." Palliative Medicine. 11. 351-357 (1997)
• [Publications] Ohi Gen 他: "Social and Behavioral Factors Associated with Condom Use among Female Commercial Sex Workers(CSWs)in Tarlac,the Philippines." Environ Health prevent Med. 2. 167-171 (1998)
• [Publications] 大井 玄: "医療倫理とインフォームド・コンセント" 保健の科学. 40. 34-37 (1997)
• [Publications] 大井 玄: "100パーセントがん告知の愚行-個々のケースにより判断すべし" 文藝春秋. 454-459 (1997)
• [Publications] 吉元 信行 他: "仏教司法福祉実践至論-高齢者離婚事件-" 日本仏教社会福祉学会年報. 28. 107-125 (1997)
• [Publications] 吉元 信行: "老いと死について-古代インドの生涯教育制度に学ぶ-" 花すみれ. 7. 16-25 (1997)
• [Publications] 吉元 信行: "大谷大学図書館所蔵パーリ語貝葉写本について" 印度学仏教学研究. 45.2. 925-931 (1997)
• [Publications] 吉元 信行: "仏教学教育法の研究" 大谷大学真宗総合研究所研究紀要. 13. 17-92 (1997)
• [Publications] Carl Becker: "Review Article Lack and Transcendence" Mortality. 2.1. 73-77 (1997)
• [Publications] Carl Becker: "ターミナル・ケアを再検討して" 真光. 40. 415-420 (1997)
• [Publications] Carl Becker: "日本人の心を考慮したケア改善を目指して" 医療哲学医療倫理. 15. 22-23,137-143 (1997)
• [Publications] Carl Becker: "Social Ethics in East Asia" Drug Information Journal. 31・4. 1089-1096,1128-1130 (1997)
• [Publications] Carl Becker: "日本人はいかにして老いを病を迎えるか" ふれあい. 47. 6-9 (1997)
• [Publications] Carl Becker: "今、なぜ臨死体験なのか" 季刊 仏教. 41. 2-5 (1997)
• [Publications] 藤腹明子・田宮 仁: "仏教的視点からみた末期患者とその家族への配慮-4つの痛みから5つの痛みへ-" 死の臨床. 20・2. 181 (1997)
• [Publications] 藤腹 明子: "『ブッダ最後の旅に』に学ぶビハ-ラケア" ホスピシケアと在宅ケア. 5.3. 288-292 (1997)
• [Publications] 藤腹 明子: "仏教の人間観からみたビハ-ラにおける基本的配慮" 飯田女子短期大学看護学科年報. 1. 8-20 (1998)
• [Publications] 田宮 仁・藤腹明子: "「痛み」を巡る漢字文化について" 死の臨床. 20・2. 181 (1997)
• [Publications] 田宮 仁: "「仏教福祉」への提言" 仏教福祉. 1. 155-170 (1997)
• [Publications] 田宮 仁 他: "仏教社会福祉に関する日韓の比較研究-その一 韓国・曹渓宗の仏教福祉活動を中心に-" 日本仏教社会福祉学会年報. 27. 85-105 (1997)
• [Publications] 大井 玄 他: "講座 差別の社会学3 現代世界の差別構造" 弘文堂, 25 (1997)
• [Publications] 大井 玄 他: "倫理意識と尊厳死" 金剛出版, 10 (1997)
• [Publications] Carl Becker 他: "「心の海」を探る" 角川文庫, 21 (1997)
• [Publications] Carl Becker 他: "比較文明学を学ぶ人の為に" 世界思想社, 24 (1997)