過去、現在、未来における平和実現の諸条件の倫理学的研究

1998 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 09610041
• Research Institution: Osaka Sangyo University
• Principal Investigator: 河井 徳治 大阪産業大学, 教養部, 教授 (20066913)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 山田 全紀 大阪産業大学, 教養部, 教授 (60132271) ; 田間 泰子 大阪産業大学, 短期大学部・その他部局等, 助教授 (00222125) ; 瀬島 順一郎 大阪産業大学, 教養部, 教授 (40123400) ; 三橋 浩 大阪産業大学, 教養部, 教授 (80027979) ; 谷田 信一 大阪産業大学, 教養部, 助教授 (20257885)
• Keywords: スピノザ哲学 / 平和 / 倫理学 / 人間性 / 心理 / 生命 / 母性 / 個人

Research Abstract

平成10年度の研究活動の主眼は、「日本平和学会」の秋季研究大会を、平成10年11月14、15日の両日、本学にて開催したことにある。これは、前年度新たに同学会理事に就任した三橋浩研究員の尽力による。当該大会では平和研究の方法論、地球環境問題、難民問題、平和教育を中心に、本学の構成員6名の研究発表が行なわれ、そのうち本件に関わる研究発表者は2名であった。河井研究員は「平和学への哲学的アプローチ」、山田研究員は「生涯教育の理念と平和」と題するコミッションの提題を行ない、他の研究員もそれぞれの課題に応じた分科研究会に参加し、多くの刺激的な成果を得た。
以下、分担研究員の主たる研究成果について報告する。三橋研究員は、単著『ホモ・サビエンスと平和』を通して人間性への考察からする平和論へのアプローチを行なった。田間研究員は、共著『現代家族の変貌』の分担執筆において、堕胎に関する近代日本の社会的通念の変遷を介して母体と人権の問題を考察した。谷田研究員は、共著『増補 現代倫理学の展望』の分担執筆において、生命倫理の在り方を問い直している。瀬島研究員は、ユートピア思想とその具体化について、心理に関わる問題点を、山岸会を具体的な事例に挙げて考察した前年の研究発表に基づいてまとめている。山田研究員は、先の平和学会での発表等を介して、平和の実現が個人の実存の尊厳性に基づく所以を詳らかにする。河井研究員は、上記の発表において、地球環境保護の課題と平和実現の課題の共通項を模索ずる倫理学を提唱し、両課題が等しく人類の普遍的倫理的組帯に依拠する所以を、自然と生命についてのスピノザ哲学の考察から明らかにしようとした。
詳細については、報告書の総括と諸論文の内容にゆだねることにする。

Research Products

• [Publications] 三橋 浩: "ホモ・サピエンスと平和" 大阪教育図書, 216 (1998)
• [Publications] 田間泰子分担執筆/中 久郎 編著: "現代家族の変貌" 行路社, 506 (1998)
• [Publications] 谷田信一分担執筆/伴 博・遠藤弘編: "増補 現代倫理学の展望" 勁草書房, 291 (1998)