1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09610062
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
紺野 敏文 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (10170440)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津田 徹英 神奈川県立金澤文庫, 学芸課, 学芸員(研究職)
西岡 芳文 神奈川県立金澤文庫, 学芸課, 学芸員(研究職)
松田 誠一郎 京都市立芸術大学, 美術学部, 専任講師 (20239031)
長坂 一郎 東北芸術工科大学, 芸術学部, 助教授 (60275617)
関口 正之 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (60000452)
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Keywords | 神仏習合 / 僧形神像 / 八幡三神像 / 神宮寺 |
Research Abstract |
本年度は「成立期の習合神ならびに八幡神系神像・史料の網羅的把握と基礎データ作成のための最重要作品の調査研究」を課題に以下の作例の実地調査を行なった。時宜を得て神仏習合をテーマとした博物館の特別展も開催されたため当該博物館の協力のもとに貴重な作品調査のまたとない機会をもち得た。 以下、調査内容について記す。奈良時代後半の神仏習合の様相を示す(1)三重・多度神社所蔵『多度神宮寺資財帳』は最も基本的な文献資料の一つであるが、従来原本の調査の機会がほとんどなかったが、幸い本巻の詳しい調査がかない、活字本の不正確な記載法を改めることができた。あわせて著しい神格性を現わす僧形神像の古例である(2)滋賀・本隆寺坐像、さらに初期の神宮寺で仏像が習合化する様相を伝える(3)福岡・浮嶽神社所蔵薬師如来坐像について精査し詳細なデータを得た。次に、八幡神関係の調査では神護寺系八幡神像の最重要作例である東大寺八幡殿安置の快慶作僧形八幡神坐像とこれにかかわる(4)京都・仁和寺『八幡神影向図』および(5)愛知・徳川美術館所蔵『僧形八幡神画像』等の絵画作品の調査を行なった。とくに東大寺像については八幡神の象徴的機能をもつ光背ほかについて新知見を得た。また、関連の重要文書である(6)東大寺本『東大寺要録』のマイクロ撮影を行った。一方、京都・東寺の空海勧請所伝の八幡神最古作の(7)東寺八幡三神像について検分しその特異な構造・彩色に及ぶ詳細な資料を得たのは大きな収穫であった。さらに同系類の(8)奈良・薬師寺八幡三神像についても、その特有な表現技法を解読する手がかりを得た。これにより、今年度の調査目標であった八幡神関係の主要な作例を重点的に押さえることができたが、系類の関連作品の調査はさらに広範囲に及ぼす必要がある。
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