1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09610078
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
桑野 園子 大阪大学, 人間科学部, 教授 (00030015)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
難波 精一郎 宝塚造形芸術大学, 教授 (40029616)
山崎 晃男 大阪大学, 人間科学部, 助手 (40243133)
|
Keywords | 継時マスキング / 同時マスキング / 減衰音 / エンベロープ |
Research Abstract |
聴覚における継時マスキングの研究においては、通常、アスクする音とされる音とに異なった音が用いられる。しかし、我々の先行研究では、一定の長さを有する単一音内部での継時マスキングの存在を示唆する結果が得られているため、本研究において実験的な検討をおこなった。261.6Hz、349.2Hz、392Hzの3種類の周波数の純音を用いて、立ち上がり10ms、立ち下がり590msのエンベロープをもつよう作成した刺激(減衰音と呼ぶ)を標準刺激、その末尾部分を0ms〜200msまで段階的に削除した刺激を比較刺激とし、標準刺激と比較刺激が同じか異なるかの判断を求めた。その結果、弁別閾は約85msとなり、標準刺激の末尾部分がマスクされていることを示唆している。この結果は、刺激の初頭部分から末尾部分への継時マスキングの存在を示唆するものである。また、上の減衰音のうち互いに異なる周波数をもつ2音を継時的に発生させ、その重畳部分の長さを20ms〜300msまで変化させるものを標準刺激、その第1音の第2音との重畳部分を削除したものを比較刺激として弁別実験をおこなった結果、弁別閾は約170msとなった。2音の場合の弁別閾が、先の1音のみの場合の弁別閾よりも大きな値を示したのは、第1音の初頭部分から末尾部分への継時マスキングに加え、第2音の初頭部分から第1音末尾部分への同時マスキングが生じていたことによると考えられる。すなわち、本研究においては、単一音内部での継時マスキングと2音間の同時マスキングが加算的にはたらいていたと考えられる。ただし、2音の周波数関係によって継時マスキングと同時マスキングの加算的関係が変化するとの予備的な実験結果も得られており、その点について現在検討を重ねているところである。
|